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2008年02月25日

疑惑のワイン Bourgogne 2003

8v0225-1.jpg私は20年ほど前から偽物ワインについて警鐘を鳴らしております。バブル隆盛の頃、掴まされたのがDRCモンラッシェの1986年。ラベル表記ですがアペラシオンが何と「ロマネ・コンティ」になっているではありませんか!
しかしそれ以外はキャップシールからラベルの隅々まで寸分違わず、また肩ラベルの「ウィルソン・アンド・ダニエルズ」まで全く疑う余地もないほどの精巧なモノでした。
当時東南アジアで出回っていたものはラベルを水につけると黒い印字が滲んだり流れてしまうモノがあったのですがそれらは赤ワイン、ラベルを水につけることまで予測していなかったと考えられます。
角川書店が当時ワイン輸入に手を出してましたが元日本リカーにいたT氏がドイツで買ったという50ケースものロマネ・コンティも実に怪しげでありました。ロマネ・コンティは単独で買えることなど当時でもあり得ないお話しであり、1本のロマコンを買うためには抱き合わせで11本のDRCワイン、さらにルロワ社からならジェネリックを何ケースも買わされるのが常でしたから。

昔の話はさておいて今日のワインですがACブルゴーニュ、生産者は誰かさんの甥エマニュエル・ルジェですがラベルに書いてある通り熟成と瓶詰めは本人が行っていると云うだけのACブルゴーニュであります。ですが裏ラベルには「ドメーヌ・エマニエル・ルジェ」と明記されています。輸入元には表のラベルの読み方からもう一度学んで頂きたいと思いますが・・・・。
外観で妙なのはキャップシールの色。トップの色だけが明るい赤色になっているのです。側面は濃いめの赤なので誰でも気付くはずなのですが。

8v0225-2.jpg
キャップシールのトップが2ミリほど脹らんでいたのですが開けてみるとご覧の通り。コルクは見るからにおかしいでしょう! キャップシールの色の違いは安物カメラなので分かりにくいでしょうけど。日頃からキャップシールやコルクを眺めていないといざ変なワインに出会っても見逃してしまうと思います。

さてさて怪しげなこのワインですがグラスに注いでみましょう。

何と色の濃いワインか! 猛暑の年とは云え実が付いてから摘み取りまでそんなに長くおくことが出来なかったのが2003年でありますのでこんな濃い色はまず考えにくいことです。しかし決して濁っているわけではなく輝きを持った色調であります。レッグも長いのですが、グラスを揺すってもピノらしい香りが上がってきません。03なので冬眠状態に入っているのでしょうか? で、温度を少し上げてみると・・・・ 何と出てきたのは私の嫌いなガメイ臭! 一口含むとぱっと思い浮かぶ名前があるのですが、ぐっとこらえて分析してみます。特異とも云える色の濃さ、ガメイですが洗練された香りに上質の樽香、余韻の長さと云い、やはりボージョレの有名所としか思い浮かびません。

これは明らかにルジェのACブルゴーニュではないと断言できます。ですがどうしてこんなワインが輸入されるのでしょうか? 決して飲むことの出来ないワインではありませんがこんなワインを造って利益になるのでしょうか? まことに不思議なワインであります。

posted by:Georges :

コメント

非常に面白い記事で、興味深く拝読いたしました。

おそらくボージョレのMVあたりと拝察されていると愚考しますが、georgesさんのお説の通り、こんなワインを造って利益になるのか不思議に思います。

同じワインの2005は先日ネットで8000円超で見かけましたが、そんな価格で売れるなら、たしかにメリットがあるのかも知れませんね。

実際にフェイクワインだったとしての話ですが、インポーターの立場は一体どうなっているのか、どこまでがだます側でどこからがだまされる側なのか、キツネとタヌキの化かし合い、カバとカバとでかばい合い〜の世界ですね。

あまりに面白いので、この記事(またはアメブロの方の記事)を拙ブログで紹介し、コメント入れさせていただいてよろしいでしょうか?

投稿者 griotte : 2008年02月26日 15:17

griotte 先生

ご投稿有難うございます。

この生産者をはじめ、有名どころのドメーヌ物には恐ろしいほどの偽物が出回っております。
インポーターも結構気づいているところが多くインデントのリストなどから外している会社が多いように思います。

ネットで出ているのを見て信用してと云うか何も疑わずに買っている人が殆どなので、ネットショップは引き下がらないでしょうけどね。

日本で飲ませて頂いたアンリ・ジャイエールのワインで美味しいと思ったのはピンキオーリのお店だけでした。他の店で頂いたのは全て偽物。私は蔵でいろいろ飲んでますからね。

投稿者 Georges : 2008年02月26日 15:49

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