ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

新ワイン学を読んで 4
114ページの下段の文章はその通りであるが、ピノ・ノワールの突然変異により生まれた葡萄はピノ・ブラン、ピノ・グリ、ピノ・ムニエの他に、ピノ・シウタピノ・タンチュリエピノ・ヴィオレピノ・ルージュなども存在する。

さて次のページは図3も含めて杜撰である。仮定に基いた関連性を示す図など読者に誤解を与えるだけである。

先ず図3の左上のグリュナー・ヴェルトリナーがサヴァニャン=トラミナーと St.Georgener の交配種であるという根拠は何か?

ここで 2014年6月の拙ブログを振り返ってみると、オーストリア・ワインのサイトからグリュナー・フェルトリナーの親葡萄に関する記述が見られる。コピーすると

Parentage: Natural offspring of Traminer and St. Georgen. The second parent variety was found in St. Georgen in Austria's Burgenland.

ここでの葡萄名は「St.Georgen」ところが著書では「St.Georgener」と変化している。St.Georgener の出典元は何か?

ちなみに VIVC のグリュナー・ヴェルトリナーのパスポートデータはこちら、現在のところ原産国はイタリアとなっているが、これもしょっちゅう変わるので注意すべきだ。ペディグリーは

Pedigree confirmed by markers  ? × SAVAGNIN = TRAMINER
Prime name of parent 1 ?
Prime name of parent 2 SAVAGNIN = TRAMINER

母親不明の父親はサヴァニャン=トラミナー、諄いようだがサヴァニャン・ブランとは異なる理論上の葡萄である。

その右側にはサヴァニャン=トラミナーと Österreichisch Weiß VIVC では正式名称 OESTERREICHISCH WEISS となっているがその交配で生まれたのがシルヴァーナー。これはその通りだし、Österreichisch Weiß のペディグリーも判明していて

Pedigree confirmed by markers  HEUNISCH WEISS × ?
Prime name of parent 1  HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 2  ?

グエを母親とする葡萄であるのでその親子関係は間違いない。


ドイツの正式名称 Grüner Silvaner グリュナー・ジルヴァーナー、VIVC の登録名 SILVANER GRUEN の親子関係は

Pedigree confirmed by markers  TRAMINER × OESTERREICHISCH WEISS
Prime name of parent 1  SAVAGNIN = TRAMINER
Prime name of parent 2  OESTERREICHISCH WEISS

シルヴァーナーまでのペディグリーについては問題ないが、シルヴァーナーとローター・ヴェルトリナーとの交配でノイブルガー、フリューローター・ヴェルトリナーが生まれたとするのは早計である

VIVC のシルヴァーナーの子孫についてはこちら、ウェブ魚拓はこちらを参照に。ノイブルガー、フリューローター・ヴェルトリナーの名前は無い。

ノイブルガーのペディグリーは

Pedigree as given by breeder/bibliography  PINOT BLANC × SILVANER
元々はピノ・ブランとシルヴァーナーの交配と伝えられていたが

Pedigree confirmed by markers  VELTLINER ROT × SILVANER
Prime name of parent 1  VELTLINER ROT
Prime name of parent 2  SILVANER

遺伝子の解明が進んで、ノイブルガーは母ローター・ヴェルトリナー、父はリンク先の無いシルヴァーナー「SILVANER」であり、VIVCで云う SILVANER GRUEN ではない。

またフリューローター・ヴェルトリナー VIVC の登録名 VELTLINER FRUEHROT のペディグリーは

Pedigree confirmed by markers  SILVANER × ROTER VELTLINER
Prime name of parent 1  SILVANER
Prime name of parent 2  VELTLINER ROT

やはり母親葡萄はリンク先の無い「SILVANER」、従って図3のノイブルガー、フリューローター・ヴェルトリナーは根拠が無いということになる。

またサヴァニャン=トラミナーの子孫がピノ・ノワールであるとの仮定で示された図は読者に誤解を与えるだけだ。そのピノ・ノワールとグエとの交配でシャルドネ、ガメイは生まれたがアリゴテ、ムロンはその限りではないので削除すべき。右隣のグエとシュナン・ブランからコロンバールは生まれていないのでこれは削除すべき。

図3の最下段グエの子孫と云われるブラウフレンキッシュとサンローランの交配でツバイゲルトレーベが誕生したという図だけは問題ない。一応検証すると

ツバイゲルトレーベZWEIGELTREBE BLAUのペディグリーは

Pedigree confirmed by markers  ST.LAURENT × BLAUFRAENKISCH
Prime name of parent 1  SAINT LAURENT
Prime name of parent 2  BLAUFRAENKISCH

ブラウフレンキッシュは以前示したように母親がツィメートトラウベ・ブラウ一般に知られる名はブラウアー・ツィメートトラウベで、父親がホイニッシュ・ヴァイス。

従って図3の最下段の図だけは的を射ていることになる。

ポルトガルのヴェルデーリョについては

Pedigree confirmed by markers  SAVAGNIN = TRAMINER × ?
Prime name of parent 1  SAVAGNIN = TRAMINER
Prime name of parent 2  ?

余談だがイベリア半島にはヴェルデーリョと呼ばれる白葡萄がもう一つある。スペイン原産の VIVC 登録名VERDEJO BLANCO だがこちらもサヴァニャン=トラミナーの子孫であることに間違いない。

Pedigree confirmed by markers  CASTELLANA BLANCA × SAVAGNIN = TRAMINER
Prime name of parent 1  CASTELLANA BLANCA
Prime name of parent 2  SAVAGNIN = TRAMINER

③その他の品種については著者の葡萄名の認識を疑うこと多々あり。まず「シラーはデュレーザとモンデュース・ブランシュの自然交配・・・」とあるがシラーのペディグリーは

Pedigree confirmed by markers  MONDEUSE BLANCHE × DUREZA
Prime name of parent 1  MONDEUSE BLANCHE
Prime name of parent 2  DUREZA

シラーの母親はフランス原産の(従ってフランス語読みする) MONDEUSE BLANCHE モンデュースではなくカタカナ表記するとモンドゥーズ・ブランシュである。「デュレーザはピノと云々・・・」とあるがそれは喫煙ワイン評論家の著書にあるだけで立証されていない。現在のところデュレーザと親子関係の可能性のある葡萄はプリュヌラールである。

| ワイン雑感 |
| 03:47 PM | comments (0) | trackback (x) |
コメント

PAGE TOP ↑
コメントする








絵の中の文字を入力して下さい:



PAGE TOP ↑
Copyright © 2006 ワインと葡萄::新ワイン学を読んで 4
All Rights Reserved./Skin:oct