ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Blanc Dame B


ブラン・ダムもしくはブラン・ダームと発音するはずの白葡萄。拙ブログでは 2012年 10月 28日にこちらでご紹介。画像はIFV (Institut Francais de la Vigne et du Vin )のこちらから拝借しました。

さて以前にも申し上げたようにこの葡萄に関してはフランスで栽培される葡萄のサイトのこちらをご覧頂くと 2011年の時点で僅か 0.2ha という栽培面積であり、まさに絶滅危惧種であります。

結論から先に申し上げると、私の推測ではフランスのワイン法、アルマニャックの葡萄規定を書き換える際に、本来とは異なる間違った葡萄名を使ってしまったのではないかということ。その葡萄をフランス政府がフランスで栽培される葡萄と認定してしまったため取り沙汰されているというのが現状であります。

本来葡萄規定に載るべき葡萄とは正式名称 CLAIRETTE DE GASCOGNE クレレット・ド・ガスコーニュ、間違って取り上げたのがこのブラン・ダムであります。

現在のINAO の法律アルマニャックの葡萄規定では

1. Encépagement Les vins destinés à l’élaboration des eaux-de-vie sont issus des cépages suivants : baco blanc B, blanc dame B, colombard B, folle blanche B, graisse B, jurançon B, mauzac B, mauzac rose Rs, meslier saint-françois B, ugni blanc B.

ところが 1958年改正の法律では次のようになっています。重要な部分をコピーすると

Folle blanche et jaune, picquepoul du pays, Saint-Emilion, Colombard, Jurancon, Blanquette, Mauzac, Clairette, Mesliers, Plant-de-Grece, Baco 22A

おやおや、ブラン・ダムの名前は載っていません

現在のアルマニャックの葡萄規定と1958年の葡萄規定の整合性を見ると(VIVC のサイトからシノニムの検索で調べます)、まず baco blanc B は Baco 22A と同じ葡萄(シノニム)。Blanc dame は後回しにして次の colombard B は Colombard と同じ。folle blanche B は Folle blanche et jaune と同一。Greisse B はPlant de Grece と同じ。Jurancon B は Jurancon と同じ。Mauzac B と Mauzac rose RS は Mauzac と同じ。Meslier Saint-Francois B はMeslier(s) と同じはず。Ugni blanc B は Saint Emilion と同じ葡萄。

現在の法律にその名がある葡萄は2番目のブラン・ダムを除きバコ・ブラン、コロンバール、フォル・ブランシュ、グレス、ジュランソン・ブラン、モザック・ブラン及びモザック・ロゼ、メリエ・サン・フランソワ、ユニ・ブランは1958年の葡萄規定と整合性ありと見ました。

1958年の規定にあるピクプール・デュ・ペイとはこちらをご覧頂くとお分かり頂ける筈ですがフォル・ブランシュのガスコーニュ地方の呼び名、即ちシノニムであります。従って整合性のない葡萄の名前は次の2つであります。

1958年の規定にあるブランケット、そしてクレレット

ちなみにアルマニャック関連のサイトではブラン・ダムの名前は見つからずクレレット・ド・ガスコーニュとしていますし、こちらのサイトを見てもブラン・ダムの名前は見当たらずクレレット・ド・ガスコーニュとしています。

これら2つを現在の法令文言作成の際に VIVC の正式名称 BLANC DAME のシノニムに該当するであろうと、担当した人物が勝手な判断で置き換えたのではないか。

VIVC のサイトから「Blanc Dame」を検索すると正式名称 Blanc Dame ともう一つの正式名称 Clairette de Gascogne の葡萄が出てきます。注目すべきはそのシノニムですが、ブラン・ダムのシノニムは

BLANC MADAME
BLANQUETTE
BLANQUETTE GRISE
CLAIRETTE DE GASCOGNE
CLARET
CLARET DE GASCOGNE
LA CLARETO
LOU CLARET
PLAN DE DAME
SEMILLON DES CHARENTES

次に正式名称 CLAIRETTE DE GASCOGNE のシノニムは

BLANC DAME
BLANC MADAME
BLANQUETTE GRISE
CLARETO
LOU CLARET

つまり本来葡萄規定に盛り込まれなければならない正式名称クレレット・ド・ガスコーニュと正式名称ブラン・ダムのシノニムが共通すると云うこと。

さらに1958年のアルマニャックの葡萄規定にある Blanquette をシノニムとする葡萄はVIVC のサイトから検索すると次の通り

BLANQUETTE  COLOMBARD 2771
BLANQUETTE  GRAISSE 4937
BLANQUETTE  MAUZAC BLANC 7522
BLANQUETTE  ONDENC 8770
BLANQUETTE  COLOMBAUD 14834
BLANQUETTE  BLANC DAME 1420
BLANQUETTE  BOURBOULENC 1612
BLANQUETTE  CHASSELAS BLANC 2473
BLANQUETTE  CLAIRETTE BLANCHE 2695

ブランケットとはコロンバール、グレス、モザック・ブラン、オンダン、コロンボーそして問題のブラン・ダム、さらにはブルブラン、シャスラ・ブランそしてクレレット・ブランシュのシノニムなのです。
このうちアルマニャックの現在の葡萄規定に合致するのはコロンバールとグレス、そしてモザックと当該葡萄であります。

また1958年の法令にある Clairette とは当時このガスコーニュ地方でクレレットといえばClairette de Gascogne のことであり、ブランケットとは別の葡萄を示したはず。この1958年の法令にある Clairette こそが正式名称 Clairette de Gascogne と推測します。本来葡萄規定に載せねばならなかったのはこの葡萄クレレット・ド・ガスコーニュではなかったか

つまり現在の法令にある Blanc dame B は法令の変更の際、Blanquette 、Clairette に該当する葡萄の名前を適当に定めた(Blanc Dame B)ことによる間違い。ブランケットとはコロンバールもしくはグレス、モザックのシノニムであり、当時は見分けがつきにくかったと推測します。

旧法の葡萄規定はシノニムが重なっていたので整理したのでしょう。

ブラン・ダムという葡萄はブランケットをシノニムとして有し、さらにはクレレット・ド・ガスコーニュをもシノニムとする訳ですから願ったり適ったりの条件が整う葡萄だったのではないか。

本来必要とされるクレレット・ド・ガスコーニュをはずし、クレレット・ド・ガスコーニュをシノニムとするブラン・ダムをアルマニャックの葡萄規定に加えたであろうというのが私の推論であります。

ところが VIVC のサイトによるとブラン・ダムとクレレット・ド・ガスコーニュは別種というのが現状であります。

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