ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Saint-Pierre doré サン・ピエール・ドレ
マイナーな葡萄のお話で申し訳ございません。サン・ピエール・ドレという葡萄については拙ブログのこちらでご紹介しましたが、その時点では母は判明していたものの父親葡萄は不明でした。

VIVC のパスポートデータは 2015年 3月 5日に書き換えられその父親に相当する葡萄はイタリア原産の白ワイン用葡萄 フリウラーノFRIULANOであると改められました。

もちろん後世変更になる場合がありますので葡萄のルーツについては常に新しい情報を掴んで頂きたいと思います。

さてこのサン・ピエール・ドレ、フランス政府が間違った判断の下アペラシヨンを有するワインには使用できないことになってますが、以前拙ブログで述べたようにアペラシヨン・エスタンに使用できるはずなのです。こちらをご覧下さい。白ワインの葡萄規定についてコピーさせて頂くと

1° - Encépagement.
Les vins blancs sont issus des cépages suivants :
- cépage principal : chenin B,
- cépage complémentaire : mauzac B,
- cépages accessoires : saint-côme B appelé localement rousselou, fel (cépage identifié, en test pour une inscription au catalogue officiel).

白ワインの補助品種の一つとして法令条文に記載がある文言は「saint-côme B appelé localement rousselou」であり、直訳すると「その地方では rousselou ルスルーと呼ばれるサン・コム・ブラン」であります。サン・コムを正式名称とする葡萄は確かに Saint-Côme かも知れませんが、この法令は「ルスルーと呼ばれるサン・コム」という条件付きですから、ルスルーをシノニムに持つ葡萄でなければなりません。

VIVC のサイトからサン・ピエール・ドレのシノニムは次の通りです。

CERCEAU
EPINETTE BLANC
EPINETTE BLANCHE
FIRMINHAC
LUCANE
PER DORE
ROUSSELLOU
SAINT CLAIR
SAINT COME
SAINT PIERRE
SAINT PIERRE DE L'ALLIER
SAN PER DORE

シノニムの一つに SAINT COME サン・コムがありますね。栽培品種名 Cultivar Name で「SAINT COME」を検索すると2つの葡萄がヒットします。一つは正式名称 SAINT COME ですけどもうひとつは当該葡萄 SAINT PIERRE DORE であります。
これも理由の一つですが、注目すべきは上から7番目のシノニム「ROUSSELLOU」であります。確かに「ROUSSELOU」ではありませんが「L」が1文字多いだけの「ROUSSELLOU」であります。

ちなみに法令通りの呼称「rousselou」を持つ葡萄は存在します。正式名称 Muscadelle ですが、この葡萄に「SAINT COME」あるいはそれに類するシノニムはありません。ミュスカデルのシノニムは現在のところ44報告され

ANGELICAUT
ANGELICO
BLANC CADILLAC
BLANCHE DOUCE
BOUILLENC MUSCAT
BUILLENC
CADILLAC
CATAPE
COLLE
COLLE MUSQUETTE
DOUCANELLE
DOUZANELLE
ENFIN
GUEPIE
GUILAN DOUX
GUILAN MUSCAT
GUILAN MUSQUE
GUILHAN MUSCAT
GUILLAN
GUILLAN MUSQUE
GUINLHAN MUSQUE
MARMESIE
MARSEILLAIS
MELON DE BOUGOGNE
MUSCADE
MUSCADELA
MUSCADELLE DE BORDELAIS
MUSCADET
MUSCADET DOUX
MUSCALEA
MUSCAT FOU
MUSQUETTE
PEDRO XIMENES KRIMSKY
RAISIMOTTE
RAISIN DE MUSCO
RAISINOTE
RAISINOTTE
ROUSSELOU
SAUVIGNON A GROS GRAINS
SAUVIGNON MUSCADELLE
SAUVIGNON VERT
TOKAY
VESPARO
WHITE ANGELICA

如何でしょうか、サン・コムの「Saint」などではじまるシノニムは全く見当たりません

正式名称 SAINT COME サン・コムは未だに種の定まらない、またシノニムを全く持たない葡萄であります。シノニムが無いと云うことは当然ながら「rousselou 或いはroussellou」と呼ばれることなど無かったはず

正式名称ミュスカデルに法令に載っている「rousselou」というシノニムは確かにありますがミュスカデルに葡萄史上「サン・コム」と呼ばれた形跡は全くありません。またミュスカデルはかなり著名な葡萄であるがゆえ別の葡萄(SAINT COME)と間違われることは考えにくいはず。

正式名称 Saint-Pierre doré サン・ピエール・ドレには法令とは1文字違いの「roussellou」というシノニムを有し、また「Saint Come」というシノニムを有することからアペラシヨン・エスタンの白ワインの補助品種規定に載っている saint-côme B appelé localement rousselou は正式名称 SAINT COME ではなく SAINT PIERRE DORE であるべきと考えます。

昔のお話ですがネット以前の時代フランスのアペラシヨン・ドリジーヌ・コントロレは赤本と云われる分厚いバインダー・ブックレットでページごとに葡萄の名前など間違いだらけでありました。ですからネットに載せるときに「l」を一つ載せ忘れた可能性があるはずです。どちらが正しいのかわかりませんが法令の条文文言に「roussellou」とすべきところを「rousselou」と間違った可能性が高いと思います。

法令はワイン生産地の人間が作るのではなくパリのお役人が作成するはず。ワインに詳しい人が作成するとは限りません。

サン・ピエール・ドレの復権を願いたいと思います。
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