ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Maskaria Cerasuolo di Vittoria DOCG 2011 Terre di Giurfo Srl.
先ずは表のエチケットをご覧下さい。大きく「Maskaria」マスカリアと表記がありますけどこれがワイン名なのでしょうか? その下段では DOCG 格付けである表記、チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリア DOCG とあります。生産者は Terre di Giurfo テッレ・ディ・ジュルフォ、シチリア南東部のヴィットーリアにあるワイナリーです。生産者のサイトはこちらですが他に Dimore di Giurfo ディモーレ・ディ・ジュルフォ名義のワインもあるみたいですけど、こちらを見る限り同じ生産者であるはず。

さて、そのエチケットですけどフランスワインなら原産地名をワインの名前とするのが一般的であるはず。

例えばこちらのワイン、エチケットの上から生産者名、ジュヴレ・シャンベルタン、クロ・デ・ヴァロワイユ、プルミエ・クリュであるということ、そしてこのワインは原産地統制呼称法におけるものであるとの表記、樹齢の高い葡萄の木、畑自体がモノポールであることの表記など。すべてが畑に関する事柄であります。

ところが件のワインの場合、マスカリアは何を示すのか、畑の名前でないことは生産者のサイトを見ればお分かり頂けるはずであります。畑の名前でもない名称を普通フランスワインは使いませんが、イタリアはその限りではないみたいですね。即ちイタリアのワイン法ではエチケットにワイン法で定められた要件以外にワインの呼び名を記載しても一向に問題ないとしているのが現状であります。
日本でこのワインを輸入・販売している会社はこのワインの裏ラベルに「生産者の名前とマスカリア」とだけ印字して、肝心の原産地名などの記載は何もありません。ですがこの輸入元はネットでは裏ラベルとは別の表現「マスカリア・チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリア」としているのです。

裏ラベルを実際に見るのはこのワインを購入した人だけであり、買った人が目にするのは生産者名と「マスカリア」とだけしか情報が伝わってきません。裏ラベルには他にイタリアワインとだけ表記されていますが、イタリアのどの地域で造られたという具体的な地名の記載はありません。

イタリアワイン法の最高グレードとして DOCG が君臨しており、シチリア島では唯一の DOCG がこのチェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアな訳ですから、本来裏ラベルにはワイン名シチリア唯一の最高格付けワインであることの表記、もしくは「チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリア」ニックネームが「マスカリア」とあれば、それなりにワイン購入者には理解できるはずであります。

イタリアのワイン法に関してはこちらをご覧下さい。やはりトップの座に君臨するのが DOCG のカテゴリーであり、その下に DOC そして IGT 一番下のクラスとしてヴィーノ・ダ・ターヴォラとなっています。

ところがイタリアワインの場合、フランスと違って原産地名とは無関係にワインの名前が先に有名になってしまうケースが多いのです。例えばアイア系のサッシカイアがその典型でしょう。元々はヴィーノ・ダ・ターヴォラのカテゴリーであったサッシカイアが世界的に有名になって原産地であるボルゲリが取り上げられ DOC ボルゲリを制定し、後に法整備が進みボルゲリ・サッシカイアが DOC として認定されるといったように、法が後手後手に回ってしまったのが現状であります。

ですからワイン法の原産地より、勝手に名付けたワインの呼び名が優先されるようになったのではないでしょうか。

ソライアやティニャネッロなどのアンティノリのワイン、オーパス・ワンとフレスコバルディのコラボであるルーチェも原産地が何処か知らない人が多いはず。原産地なんかどうでも良いと飲む人は思うはずであります。

でもそれではワイン法そのものが役に立たないと云うことになってしまいます。

そもそもイタリアワイン法には「グラン・クリュ」の存在がありません。DOC の上であるはずのカテゴリー DOCG のワインを軽視されてしまっているのが現状ではないか。

DOC の範囲で特に優れた品質のものに DOC グラン・クリュを付加すれば高い物好きには喜ばれるはずであります。

非常に分かり難いキアンティの分類ですが、キアンティ・グラン・クリュとして特定の地域を指定すればキアンティ全体の格が上がるかも知れません。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに至っては、正真正銘の葡萄品種 Brunello di Montalcino が植わっている地区をグラン・クリュに指定すればどうか。

さてさて本題に戻ります。チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアに関するイタリアのワイン法はこちら、葡萄に関する規定はコピーさせて頂くと

dal 50% al 70% di Nero d'Avola e dal 30% al 50% di Frappato.

即ちネロ・ダーヴォラ 50% ~70% 、フラッパート 50% ~30% という割合。ここで注目すべきはフラッパートであります。この葡萄こそサンジョヴェーゼの親である可能性が極めて高いのは拙ブログのこちらで述べました。

このワインの詳細はこちらをご覧下さい。ネロ・ダーヴォラ 60% 、フラッパート(・ディ・ヴィットーリア)40% 、ステンレスタンク醗酵、樽とは無縁のワインであります。

コルクを抜くとご覧の通り液体に触れた部分は結晶が出来ています。澱の発生と同時に生じたものでしょうね。結構綺麗に熟成していて揮発性の強い酸とかは消えています。

グラスに注ぐと紫色の成分が残っているような感じの色合いは大変美しい。香りは懐かしいというかシチリアワインとは思えないような香り、即ち今までによく飲んだワインに近いように感じます。イタリアワインで昔から飲んでいるものといえば私の場合キアンティ、キアンティ・クラッシコでありサンジョヴェーゼ主体のワインであります。

サンジョヴェーゼとフラッパート、やはり密接な関係のように思いますが如何でしょうか?

味わいはネロ・ダーヴォラ 100% の同じ生産者のものと比較すると極めてエレガントであり、最上級カテゴリーに相応しいものと考えます。

シチリア唯一の DOCG チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリア、その最高位格付けとは相反するお買い得な価格のマスカリア、知っておいて得するワインではないでしょうか。
| ワイン日記::イタリアワイン |
| 03:58 PM | comments (0) | trackback (x) |
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