ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

シャンパーニュとイタリアン
滅多に行かなくなってしまったイタリアンですが、季節が季節なのでひょっとして白いモノが贅沢に食べられるかも? と期待に胸を膨らませての訪問です。昔々本町橋の袂にあった頃は週に2度あるいは3度と通っておりましたが、天満橋に移転してしばらく後にタスマニアの鮑を供されて以来足が遠のくようになってしまいました。

さて普通はメンバーが揃ってから乾杯と同時にアミューズ・グールが出てくるはずですが、座った順にアミューズが供されシャンパーニュが注がれます。個々別々に勝手に飲めということなのでしょう。で、最初に出てきたのがこの一皿です。


「自家製サラミパテのブルスケッタ、発酵な感じのソース」(原文そのまま)。日本語の表現に「発酵な」という形容詞など存在しません。レストランなのですから「自家製」とわざわざ表記する必要性がないと思うのですが、バゲットの上に乗っかっているモノは生温かい、沖縄名物の缶詰のような食感のモノ。付け合わせは一口ではとても食べきれない大きさの生の蕪と、ちゃちゃっと切られただけのセルバチコ。「発酵な感じのソース」は単にヨーグルトを薄く延ばしたようなモノでありお世辞にも「手の込んだアミューズ」とは申せません。

正直こんなモノを供するようでは関西を代表するイタリアンと云えるはずありません。


で、シャンパーニュ・メゾン代表者の挨拶のあと出てきたのがこちら。帆立貝柱の美味しい季節なのでそれかと思えば、残念ながらモッツァレッラ。料理の名前は「ほんのり温めたモッツァレラ・ディ・ブファラとカブとミルクのズッペッタ」。蕪の葉は好物なのですがオリーヴオイルの質がイマイチなのか、あるいは生ぬるい温度のせいなのか全く美味しいとは思いません。パンチェッタで巻かれたフロマージュはやたら量が多くこの時点で料理の進歩は全くないと判断。


昔からの定番とのことですが「温かいポテトのティンバロとキャビア」。黒い色のキャヴィアなど有り難がって食べる人は居ないだろうと思いましたが、他の人々は美味しそうに召し上がっておられます。お客さんのレベルもその程度としか思えません。


「とろっとした詰め物をした手羽のとろとろ、白トリュフ添え」という料理名ですが、京都のイタリアンのシェフみたいな名付け方は如何なものかと申し上げたい。鶏の手羽といえばこの皮が嫌いだという人を結構見掛けるはずであります。添えられる半熟玉子は良かったものの、お粗末な素材に白トリュフだけが無駄に香っていました。トリュフの削られる量は恐らく 2グラム程度だったはず。キロ 625,000円とのことですが、2グラムですと1,300円でしかありません。


「コラーゲンたっぷりの詰め物をしたアニョロッティ・ダル・プリン、松茸のソテーと銀杏を添えて」、パスタとしてはよく纏まっていましたが銀杏は頂けません。松茸の香りなど全く感じないのも如何なものかと申し上げたいところ。材料費は松茸を除くと恐らく300円もかからない一皿。


メインは「シャラン鴨の格子切りの軽い煮込み、賀茂茄子とアーティチョーク、甘長ししとう、焼きネギ添え、オレンジと山椒の風味」。芳ばしい香りの鴨を期待しましたが食感も何だか分からぬ煮込みとは情けない。全体に老人食かと疑いたくなるようなフニャフニャしたものばかりが並んでしまったという印象であります。


アヴァン・デセールもも手抜き料理としか申し上げられません。「レチョート ディ ソアヴェのソルベットを浮かべた洋梨のグラススープ」は殆ど溶けて形のないソルベのようなものはワインの香りなど殆ど感じられず、そのスープも洋梨の甘い香りはなく、水っぽいだけの液体でしかありません。


唯一良かったのがこのデザート「焼きたてのバニラスフレ、佐渡黒いちじくとそのソルベット添え」でしょうか。

シャンパーニュはアイのRM、ゴセ・ブラバン。キュヴェ・ガブリエルの2002、1997、1999、1995、1998、そして1996年のミレジメとトラディション・プルミエ・クリュのドゥミ・セック。ボトルの形は今の当主によく似たずんぐり・むっくり。エチケットはまったく高級感がありません。ボランジェのすぐ近くとのことですのでせめてラベルだけでも見習って頂きたいと思います。
グラン・クリュといえども葡萄の価格は1キログラム6ユーロであり、1本のシャンパーニュに使われる葡萄の量は 1.125kg 即ち価格にすると 6.75€ 、日本円換算すると 900円そこそこであります。従って古いミレジメでもシャンパーニュ1本の価格は蔵出し価格で30ユーロまでと考えるのが妥当なところ。

最初の2002年は蜂蜜のような香りを持ち、素人受けするような甘いまろやかな味わい。1997年は明らかなヒネ香、1999年はうまくバランスがとれているように感じましたが、全体にドザージュが多すぎるように感じました。1995年は唯一マロラクティック醗酵を行わずにシャンパニザシオンしたもの。実は私の好みでありました。

1998年は下り気味でそう長くは保たないはずで、1996年はやはり酸の強いものでした。シャンパーニュの味わいというよりドザージュに使われるリキュールの味が勝ってしまいそうな感じですので世界的には高く評価されないはずです。第2次醗酵の場所が温度が高いと思われ、泡立ちの粒の大きさは細かくありません。

ドザージュの多い、つまり味付けされたシャンパーニュが好みだという方には美味しく感じられるのかも知れません。


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| 10:52 AM | comments (0) | trackback (x) |
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