ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Saint Côme
Saint Côme B

サン・コムはこちらの地名に因んでその名が付けられたと思われる白葡萄の名称です。

さてこの葡萄を例のお高い「Wine Grapes」で調べようと思ったら・・・ アルファベット順に探しましたが見付かりません。フランス政府が公式に認める葡萄ですが著者の女史は全く無視したのか、もしくはご存知ないのか。どちらにせよ事典を名乗る訳ですから「掲載漏れ」は困ります。

画像はフランス政府系のサイト(新フランス葡萄品種のサイト)からこちら、元祖フランス葡萄品種のサイトはこちらなどと一応は載っているものの、画像のないフランス農学研究所関連サイトではこの名前に相当する葡萄は存在しません

VIVC から Saint Côme に該当するのはこちらこちら。前者のパスポートデータをよく見るとホイニッシュ・ヴァイスを母としているのは共通しますが「Species」即ち分類上の「属」の下の「種」は空欄のままであります。ということは Vitis vinifera subsp vinifera では無いかも知れないとのことです。

昔の法令と照合するとフランス農水省が「Saint Côme」と定めた葡萄は実は間違いで「Saint Pierre Doré」の可能性が極めて高いと思います。

「種」が定まらないことの他に理由としてシノニムを挙げます。

VIVC のパスポートデータをよくご覧下さい。シノニムは皆無であります。そりゃそうでしょう、フランスが原産であること以外に画像はありませんし、栽培面積データも掲載されていません。実験的に育てられているかも知れませんがシノニムがないということは実在しないことを意味するはず。然るにフランス政府はこの葡萄を登録してしまってます

VDQS Vin d'Estaing の法令がネット上にありましたのでウェブ魚拓を取りました。第2章の葡萄規定、白ワインについてコピーさせて頂くと

Vins blancs : Chenin, Roussellou, Mauzac.

現在のアペラシヨンを取得した後の法令から白ワインの葡萄規定は

Les vins blancs sont issus des cépages suivants :
- cépage principal : chenin B,
- cépage complémentaire : mauzac B,
- cépages accessoires : saint-côme B appelé localement rousselou, fel (cépage identifié, en test pour une inscription au catalogue officiel).

お分かりですね、地元で「ルスルー」と呼ばれている「saint-côme B」とあります。即ちフランス政府はルスルーをサン・コムと認識した訳です。これが大きな誤りという訳。

VIVC のパスポートデータからサン・ピエール・ドレをご覧下さい。こらちにはシノニムとして

CERCEAU
EPINETTE BLANC
EPINETTE BLANCHE
FIRMINHAC
LUCANE
PER DORE
ROUSSELLOU
SAINT CLAIR
SAINT COME
SAINT PIERRE
SAINT PIERRE DE L'ALLIER
SAN PER DORE

と12種類も存在します。太字で示したルスルーの他に当該葡萄と同名のサン・コムが存在します。

何よりの理由として「種」は Vitis vinifera subsp vinifera であるので紛れもない欧州種であり、旧来からワインが造られていたことを物語ります。

結論として、アペラシヨン・エスタンの白ワインに使えるのはサン・コムではなくサン・ピエール・ドレであるはずです。



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