ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Clos de la Coulée de Serrant 1996 Domaine Nicolas Joly
8v0127.jpgワインのお勉強を始めると「必ず飲んでみたくなる」のがこのワインではないでしょうか? 昔は「単独アペラシオンを持つロワールの銘酒」などと持て囃され、現在は「ビオディナミの元祖」などと騒がれていますがこれらはいずれも間違いと云われば間違いであります。まずアペラシオンで申し上げると「Savennières」の中に含まれる「Savennières Coulée de Serrant」、INAOのHPではデノミナシヨン(いずれも日本語では「呼称」)とカテゴリーに分類されています。従ってアペラシオンは「Savennières」、デノミナシヨンが「Savennières Coulée de Serrant」と云うことであります。また葡萄栽培にビオディナミを取り入れたのはボルドーはシャトー・ファルファの元オーナーでありますがこれは何度も申し上げております。従ってニコラ・ジョリーはビオディナミの元祖ではありません。私が若かった頃このワインは高島屋が販売権を持ち1980年代初めは当時としては大変高価な¥6000という価格でワイン売り場の中核に置かれていました。しかしいざ飲んでみると「けったいな味やなあ!」とガッカリしたものです。もう一つこちらは単独アペラシオンに間違いはありませんが「シャトー・グリエ」、これはもっと高価でしたが飲んだあげくの感想は似たり寄ったり。「高価なワインは必ずしも旨くない」は80年代の初めにはしっかり身に付いておりました。
アペラシオンについては「Savennières」と「Savennières Coulée de Serrant」をご覧頂いたらお分かり頂けると思います。今はさらにそのモワルーまで出来ていますので、有名に成ることの必要性がワインの世界でもあることが分かります。「有名に成りさえすれば何でもあり」になって貰えば困るのですが・・・

で、生産者は何と日本語のHPを用意しています。かなり重たいのですがこちらをご覧頂けると全貌が明らかになります。
何年かに一度買ってはそのたびに反省させられるこのワイン、果たして今回の試みは如何に?
箕面イカリスーパーの南側にあるコーヨーに行くと「特選河豚てっちりセット」に半額シールが今まさに貼られる寸前! ここでは辛塩の鮭しか買わないことにしているのですが、ついその半額シール添付の誘惑に負けてしまいました。白子が付いて1.2㎏ほどある一尾丸ごと、もちろん養殖物ですが見た目はかなり良さそうだったのです。
パッケージの中を開くと、皮も遠江(とおとうみ)も生で付いてます。これらを熱湯に潜らせ氷水でしめ「湯引き」にしましたが結構悪くはありません。しかし上身は残念ながら既に透明感はなく、鍋にすると養殖物独特の匂いがします。

さてワインですがキャップシールにはタツノオトシゴの家紋が3つあしらわれ白地に緑のラインが入った錫箔、しかしトップには紅色での浮き彫り名前と家紋がありお金がかかっています。コルクはたっぷりワインを吸い込んで重くなっています、ハイ思い切り漏れワインです。長さは49ミリ両端には何も表示がなくサイドには枠で囲んだ中にワイン名、家紋、N. JOLY、1996、そしてシャトー元詰め表記があります。
グラスに注ぐと濃い黄金色に緑がかった色と申し上げたらお分かり頂けるでしょうか、大阪弁で表現するなら「えげつない色」。まあ緑の成分が残っているだけマシなのでしょう。香りはシュナン・ブランの熟成香というか麦藁の匂い(良く云えば蜂蜜のような香り)で普通この匂いを好ましく感じる人は少ないはずであります。味も独特、非常に味密度が高く辛口であってしかし甘さが残る・・・これは好みの問題と云うより明らかに変な味であります。
ですが、この養殖ふぐちりに合わせると何ら違和感なく飲むことが出来たのです。「臭い食べ物には臭いワインを合わせる」と意外と合うのかも知れません。しかし私はロワールに何度も行った経験があり現地で飛びきり旨い辛口のサヴニエールを飲んでおり、クーレ・ド・セランだけがこのような味になるとは考えにくいと思います。漏れて中のワインに酸化が進み、普通なら飲むことが出来なくなるはずがこのワインでは逆の現象が考えられるのではと思ってしまいます。漏れを承知で買った価格は税別3500円、輸入原価は恐らく5000円はしたはず。それで同じ価格なら買うかと聞かれば答えはNO! 有名ワインに旨い物無しと申し上げたいだけ。1万円以上の支出はワインの高い学習材料としか申し上げられないでしょうね。推定蔵出し価格28.00ユーロ、無名な蔵のサヴニエールなら10ユーロ以下で買うことが出来ますのでロワール地方に行って飲むべし。
しかし、今回の試みはこのワインの飲み方として貴重でした。漏れを選んで買ってみる。もしくは栓を抜いてデカンタし1週間ほど放置すると「飲むことの出来るワイン」になるのでしょうね。好き嫌いのお話とは別ですが・・・
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| 03:39 PM | comments (0) | trackback (x) |
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