ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

新ワイン学を読んで 3
次にブルゴーニュの葡萄に関する記述も認識が甘いのではないか。

まず初っ端に「ピノ・ノアール、グーエ・ブラン(Guais blanc)の自然交配から、シャルドネ、ガメイ、アリゴテ、ミュスカデに使用されるムロンなど、多くの品種が生まれたことが明らかにされており、シャルドネやガメイなどの品種は兄弟に当たる」(原文そのまま)としていることは問題だ。

葡萄の親子関係解明は始まったばかりと云っても過言ではなく、母親と父親が入れ替わったり、全く別の葡萄が忽然と現れたりしてきた。今後も改変があると思った方が間違いない。

そのグーエ・ブランなる葡萄、ローマ字の Guais blanc を VIVC の名前検索で調べてもヒットしない。グーエ・ブランとしている葡萄の本来の名称は HEUNISCH WEISS カタカナ表記はホイニッシュ・ヴァイスという白葡萄である。この葡萄のスイスでの正式登録名はGouais 、カタカナ表記するとグエ、グーエなどとは発音しない。

グエの本来の名称 HEUNISCH WEISSの Forvo の発音はこちら、このホイニッシュ・ヴァイスのパスポートデータのシノニムに「Guais blanc」は存在しない。だから何処からピックアップしたのか大いに疑問である。

次にシャルドネ、ガメイ、アリゴテ、ムロンの最新のデータを示す。

先ずはシャルドネ、正式名称はCHARDONNAY BLANCシャルドネ・ロゼなどフランス政府が認めたためシャルドネ・ブランと記述すべき。ペディグリーはコンファームされていて

Pedigree confirmed by markers  HEUNISCH WEISS × PINOT NOIR
Prime name of parent 1 HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 2 PINOT NOIR

母親葡萄はグエ正式名称ホイニッシュ・ヴァイス、父親はピノ・ノワール。

ガメ正式名称 GAMAY NOIR 、ペディグリーは同じ

Pedigree confirmed by markers  HEUNISCH WEISS × PINOT NOIR
Prime name of parent 1 HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 2 PINOT NOIR

ということでシャルドネ・ブランとガメ・ノワールは兄弟ということになる。

次のアリゴテ、正式名称も同じで ALIGOTE のペディグリーは一見同じように見えるが・・・

Pedigree confirmed by markers HEUNISCH WEISS × PINOT
Prime name of parent 1 HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 2 PINOT

父親葡萄はリンクの無い「PINOT」であり、ピノ・ノワールではない。従って兄弟とは言えない訳だ。

MELON 正式名称も同じだがこちらもアリゴテ同様

Pedigree confirmed by markers HEUNISCH WEISS × PINOT
Prime name of parent 1 HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 2 PINOT

アリゴテと同じく母親葡萄はグエだが父親はリンクの無い「PINOT」。だから4者がみな兄弟ということは無い。

リンク先の無い「PINOT」は、昔70742 というVIVC 番号を持っていたピノの原種と考えられている葡萄でその実態は解明されていない。

余談だが、ピノ・ノワールのVIVC パスポートデータ最新情報はこちら、ペディグリーに何の記載も無い。パスポートデータの「Parent - offspring relationship YES 」の「YES」をクリックすると現れるのは何とSAINT LAURENT 10470 フランス原産の黒葡萄である。

サンローランとピノ・ノワールについては親子関係が認められるものの具体的にどちらが親に相当するなどは未解明である。

また次の文章も事実と異なる。

「グーエ・ブランはワインの品質が劣るとされ、現在では栽培されていないが…」

認識不足と云うかネットで調べればすぐ気が付くはずだが、フランスではサヴォワで現存するし、スイスとドイツでは栽培されていてワインも存在する

SWITZERLAND 正式名称 Gouais  国が公認するシノニムはGwäss
ワイン も販売されている。

GERMANY  正式名称はWeißer Heunisch  国が認めるシノニムとしてHeunisch
こちらによるとフランス、スイス、ドイツ以外にオーストラリアでも栽培されているとある。もちろん栽培されているからこそ画像も存在する。

114ページ後半にグエ関連の葡萄としてコロンバール、ブラウフレンキッシュ、リースリング、フルミント、ミュスカデルの名があるので一応検証しておく。

コロンバール VIVC での正式名称 COLOMBARD ペディグリーは

Pedigree confirmed by markers HEUNISCH × CHENIN
Prime name of parent 1 HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 2 CHENIN

父親はリンクの無い「CHENIN」であり、シュナン・ブランではないことに注意する必要がある。

ブラウフレンキッシュ、Blaufränkisch VIVC ではBLAUFRAENKISCH を正式名称としているがドイツの葡萄では無く原産国スロベニアとなっている。

Pedigree confirmed by markers ZIMMETTRAUBE BLAU × HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 1 ZIMMETTRAUBE BLAU
Prime name of parent 2 HEUNISCH WEISS

母親がツィメートトラウベ・ブラウ一般に知られる名はブラウアー・ツィメートトラウベで、父親がホイニッシュ・ヴァイス。

リースリングRIESLING WEISS リースリング・ヴァイスも父親がホイニッシュ・ヴァイスということは判明しているが母親は現在のところ不明。

フルミント、正式名称 FURMINT フランス語読みするとフュルマンでありフルミントが世界に通用するとはとても思えないが一般にはそう信じられている。

Pedigree confirmed by markers ALBA IMPUTOTATO × HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 1 ALBA IMPUTOTATO
Prime name of parent 2 HEUNISCH WEISS

これまた父親がホイニッシュ・ヴァイス。

ミュスカデル MUSCADELLE

Pedigree confirmed by markers ? × HEUNISCH WEISS
Prime name of parent 1 ?
Prime name of parent 2 HEUNISCH WEISS

これも同じで父親ホイニッシュ・ヴァイスだが母親は現在に至るまで不明のまま。

従って114ページの図2、115ページの図3 共に確定的ではないことを図に示すのは時期尚早も甚だしい。無理やり関連付けしてしまうのはダメということ。
| ワイン雑感 |
| 03:03 PM | comments (0) | trackback (x) |


PAGE TOP ↑
Copyright © 2006 ワインと葡萄::2018年11月28日
All Rights Reserved./Skin:oct