ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Pinot gris G




良く知られている葡萄ピノ・グリ、ピノ・ブラン同様ピノ・ノワールの果皮色が突然変異によりグレイになったと云われる葡萄ですが「グレイ」と「ロゼ」などの明確な区別の規定は設けられていない模様です。色ですから人によって判断基準が異なるはず、「ルージュ」という果皮色についても微妙であります。

さてピノ・グリには何と220ものシノニムが登録されています。すべてのシノニムはこちら をご覧下さい。

さてシャンパーニュに使うことの出来る葡萄については何度もお知らせしましたが、今なおアン・フュメとやらフロモントーであると主張を繰り返している業者がネットで宣伝しているのでご注意ください。

その業者が言うには

フロモントー(別名:ピノ・グリ)/Flomonteau, Pinot Gris

そして

アンフュメ(別名:ムニエ・フュメ)/Enfume, Meunier Fume

が使えるとしている訳です。まあフロモントーは別名ピノ・グリとしているので問題ないと云えば問題ないのかも知れませんがスペルに注目下さい。Flomonteau という葡萄の名前は VIVC に登録されていません。似た名前のピノ・グリのシノニムは FROMENTEAU GRIS でしょうか、しかしスペルは異なります。

もう一方の ENFUME は VIVC にも登録されていますがあくまで正式名称 PINOT GRIS のシノニムとしての登録であり、正式名称 Enfume という葡萄は存在しません。また Meunier Fume というシノニムもしくは正式名称の葡萄も存在しません。

今一度申し上げますがシャンパーニュに使える葡萄は現在の法令から

V. Encépagement
1° Encépagement :
Les vins sont issus exclusivement des cépages:
arbane B
chardonnay B
meunier N
petit meslier B
pinot blanc B
pinot gris G
pinot noir N

世界に通用する葡萄のデータベースVIVC の正式名称で申し上げると
ARBANE
CHARDONNAY BLANC
PINOT MEUNIER
MESLIER PETIT
PINOT BLANC
PINOT GRIS
PINOT NOIR

ということになります。フランスのワイン法での葡萄名表記は末尾に葡萄の果皮色を示す略号を伴いますが、このような略号を伴う葡萄名表記を VIVC は正式には認めていません。
フランスのワイン法ではピノ・ムニエのピノを省略したりアペラシヨンと同一名称の葡萄(例えば正式名称 ARBOIS BLANC をフランスのワイン法では orbois B と勝手に呼んでいます)を敢えてシノニム表記するなどかなりアバウトな表記であることを覚えておいてください。

さてピノ・グリはアルザスでトカイ・ピノ・グリと長年呼ばれてきましたが現在はそう呼ぶことを禁止されています。2007年4月1日 EU の裁定によりハンガリー原産の葡萄との混乱を招くとしてその使用を禁止されたのです。従って次のシノニムなどはエチケットにも印刷できなくなりました。

TOKAI GRIS
TOKAY
TOKAY D'ALSACE
TOKAY DE ALSACE
TOKAY DI ALSACE

一連の「トカイ」と名の付くシノニムであります。昔の教科書にはアルザス・グラン・クリュに使える4葡萄の一つとして「ピノ・グリもしくはトカイ」と記載がありましたよね、今ではこういった表現も禁止されています。

こちらをご覧下さい。NOMS des CEPAGES からピノ・グリのページをウェブ魚拓させて頂きましたが、シノニムの欄は大変参考になるのでお勧めです。

コピーしますと

Synonymie : tokay en Alsace, pinot-Beurot en Bourgogne et en Pays nantais, malvoisie en Pays de Loire et en Savoie, auvergnat dans la région d'Orléans, rulander en Allemagne, fromenteau ou fromentot, enfumé, grauer klevner,

即ちアルザスではトカイ、ブルゴーニュとペイ・ナンテ(ロワールの河口付近)ではピノ・ブーロ、ロワール流域とサヴォワではマルヴォワジー、オルレアンではオーヴェルナ、ドイツではルーランダー、その他フロマントーもしくはフロマント、アンフュメ、グラウアー・クレヴナーと続くわけですが、地域ごとにシノニムが異なりそのシノニムがアペラシヨンに反映される場合があります。

マルヴォワジーがその一例でアペラシヨン・コトー・ダンスニの白ワインだけのデノミナシヨンに Coteaux d'Ancenis Malvoisie が存在します。拙ブログで昔説明しましたが VDQS Coteaux d'Ancenis のとき白ワインのほとんどはピノー・ド・ラ・ロワール即ちシュナン・ブランだったのです。法令改正によりシュナン・ブランは使えなくなり現在では栽培できないはずですが現状ではまだシュナン・ブランで白ワインを生産しているのでピノ・グリで造られる白ワインに Coteaux d'Ancenis Malvoisie というデノミナシヨンを制定したと考えます。
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