ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Muscardin N




ミュスカルダンという黒葡萄、拙ブログでは4年前にこちらで取り上げました。VIVC2のパスポートデータはこちら、シノニムは次の2つしか報告されていません。

MUSCADIN
MUSCARDIN NOIR

ミュスカルダンの親子関係は解明されておらず、次の5つの葡萄と親子関係が認められるとしているだけです。(先日のブログと重複しますがご容赦ください)

BARBERA SELVATICO DEL GROSSETO
BESTS C
BLANQUEIRO 
CALITOR NOIR 
PIQUEPOUL BLANC FAUX

3つ目の葡萄に注目してください。Blanqueiro ブランケイロは拙ブログで取り上げたようにニースのアペラシヨン・べレの葡萄規定に歴然と載っている葡萄であるにも拘らず、フランスで栽培される葡萄のサイト或いはフランス政府が公表する自国で栽培される葡萄のリストにも載っていない葡萄なのであります。

法令文言にある葡萄が国家的葡萄目録に載っていないとは言語道断ではないか。

念のために申し上げますがフランス政府が公表する葡萄目録はこちら、データは Date de mise à jour : 10/01/2017 となっています。サイトの方はこちらアルファベット「B」で始まる葡萄に BLANQUEIRO は載っていません

ミュスカルダンに戻ります。ブランケイロは白葡萄ですがミュスカルダンは黒葡萄であり、ローヌの「お高いアペラシヨン」と勘違いされているシャトーヌフ・デュ・パープがその殆どの栽培地であります。

この件については4年前の拙ブログをご覧ください。

シャトーヌフ・デュ・パープは大変広い範囲のアペラシヨンですが日本ではエルミタージュと共にローヌの特級畑のような扱いをする人を良く見かけます

エルミタージュは北部ローヌを代表するアペラシヨンでありその栽培面積は136ヘクタール、ブルゴーニュの代表的特級畑のクロ・ヴージョが約 50ヘクタールですから約3倍弱の大きさがあります。エルミタージュは別に格付けなどはありませんが、となりに従えるクロズ・エルミタージュが1,443ヘクタールもあるので比較すると希少価値は生まれるかもしれません。

ところがローヌ南部の AOC シャトーヌフ・デュ・パープの範囲は3,210ヘクタールもあり AOC リュベロン 2,712ヘクタールよりかなり広く、AOC ヴァントー 5,873ヘクタールよりは狭い範囲であります。シャトーヌフ・デュ・パープには優れたワインもあるかもしれませんが、お安いワインも山ほど造られているということであります。

さてフランスでの殆どの栽培地はシャトーヌフ・デュ・パープのエリアだけと思われるこの葡萄、法令では次の2つの地域にある9つのアペラシヨンとしているサイトがあります。内容をコピーさせて頂くと

9 appelations dans 2 sous-régions autorisent le cépage « Muscardin » :

Le cépage « Muscardin » est un cépage principal, utilisé en assemblage dans :

Côtes du Rhône Méridionales : Châteauneuf-du-Pape .

Le cépage « Muscardin » est un cépage accessoire pour :

Côtes du Rhône Méridionales : Beaumes de Venise, Côtes du Rhône régional .

Côtes du Rhône Septentrionales : Côtes du Rhône régional .

Le cépage « Muscardin » est un cépage très accessoire (pour moins de 10% de l'encépagement, ou en complantation) pour :

Côtes du Rhône Méridionales : Côtes du Rhône Villages, Gigondas, Rasteau, Vacqueyras, Vinsobres .

直訳すると「ミュスカルダンが使えるアペラシヨンは2つの地域に9つある。ミュスカルダンを主たる葡萄としてブレンドできるのは南部ローヌの AOC シャトーヌフ・デュ・パープ。
ミュスカルダンが使え、補助葡萄としての規定を設けているのは南部ローヌの AOC ボーム・ド・ヴニーズと AOC コート・デュ・ローヌ。そして北部ローヌの同じく AOC コート・デュ・ローヌ。

ミュスカルダンが使えるもののその比率は10%以下と制限されているのは南部ローヌの AOC コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ、AOC ジゴンダス、AOC ラストー、AOC ヴァケラスそして AOC ヴァンソブル」。

地域が南部ローヌと北部ローヌという2つの分け方には問題ありませんが、南北ローヌに共通するアペラシヨンである Côtes du Rhône (régional) を別々にカウントするのは如何なものかと申し上げたい。南北ローヌで異なるアペラシヨンではなく1つのアペラシヨンなので数は9つではなく8つとなるはずです。

アペラシヨン・シャトーヌフ・デュ・パープの葡萄規定は以前のブログで触れた通りなので主要葡萄に間違いありませんが、AOC コート・デュ・ローヌの赤・ロゼ葡萄規定を見ると次の通りとなっています。

V. - Encepagement
1°- Encepagement
b) - Les vins rouges et roses sont issus des cepages suivants :
- cepage principal : grenache N ;
- cepages complementaires : mourvedre N, syrah N ;
- cepages accessoires : bourboulenc B, brun argente N (localement denomme camarese ou vaccarese), carignan N, cinsaut N, clairette B, clairette rose Rs, counoise N, grenache blanc B, grenache gris G, marsanne B, marselan N, muscardin N, piquepoul blanc B, piquepoul noir N, roussanne B, terret noir N, ugni blanc B, viognier B.

2°- Regles de proportion a l’exploitation
b) - Vins rouges et vins roses :
- La proportion de l’ensemble cepage principal et cepages complementaires est superieure ou egale a 70 % de l’encepagement ;
- La proportion du cepage grenache N est superieure ou egale a 40 % de l’encepagement, sauf pour les exploitations situees au nord du parallele de Montelimar (Drome) ;
- La proportion de l’ensemble des cepages mourvedre N et syrah N est superieure ou egale a 15 % ;
- Ces obligations ne s’appliquent pas aux operateurs producteurs de raisins ne vinifiant pas leur
production et exploitant moins de 1,5 hectare en appellation d’origine controlee ≪ Cotes du Rhone ≫.
Publie au BO du MAAF n° 49 du 6 decembre 2013
- La proportion du cepage marselan N ne peut etre superieure a 10 % de l’encepagement ;
- La proportion des cepages blancs ne peut etre superieure a 5 % de l’encepagement pour les vins
rouges et a 20 % de l’encepagement pour les vins roses.

肝心なことはドローム県のモンテリマール以北の所謂北部ローヌと南部ローヌでは赤とロゼの主要葡萄グルナッシュ・ノワールの割合が異なるということ。南部ローヌではグルナッシュ・ノワールの割合が40%以上必要であり、北部ローヌではそれに従う必要はないもののグルナッシュ・ノワール+ムルヴェドル+シラーの合計で70%以上必要なことに変わりありません。

地域的に見て北部ローヌではシラーの栽培比率が高いのがその理由であります。

またロゼと赤ワインの主要・補完葡萄即ちグルナッシュ・ノワール、ムルヴェドルとシラーは併せて70%以上必要とあるので補助葡萄の比率は30%以下と見たわけなのでしょう。マルスランだけが10%以下との制限があります。

従ってこの解釈は正解という結論に至ります。

しかしながらサイトではミュスカルダンの比率10%以下とされるAOC コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュですが、調べてみると赤・ロゼ葡萄規定の補助葡萄(N)の規定は20%以下となっており、10%以下ではありません。

AOC ジゴンダスは主要葡萄+補完葡萄が90%以上なので補助葡萄の当該葡萄は10%以下。

AOC ラストーは天然甘口ワインと赤ワインのアペラシヨンですが、赤ワインについて補助葡萄(N)の栽培比率は15%以下であるのでこれも不正解。

AOC ヴァケラスは調べたところジゴンダスと同じく主要葡萄+補完葡萄で90%以上なので10%以下。

ところがAOC ヴァンソブル(赤ワインだけのアペラシヨン)については補助葡萄(N)の栽培比率は20%以下なのでこれも正解ではありません。

一つずつ調べなければなりませんね。補助葡萄として10%以下と規定されているのは AOC ジゴンダスと AOC ヴァケラスだけであります。

また去年コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから新しく独立したアペラシヨンがあるのです。

AOC Cairanne アペラシヨン・ケランヌは 2016年 2月10日 INAO によって認められ同年 6月 20日制定されたアペラシヨン(赤と白のみ)であります。ちなみに赤ワインの葡萄規定は次の通りです。

1°- Encépagement
a) - Les vins sont issus des cépages suivants:
Vins rouges:
- cépage principal: grenache N;
- cépages complémentaires: mourvèdre N, syrah N;
- cépages accessoires: bourboulenc B, brun argenté N (localement dénommé camarèse ou vaccarèse), carignan N, cinsaut N, clairette B, clairette rose Rs, counoise N, grenache blanc B, grenache gris G, marsanne B, muscardin N, piquepoul blanc B, piquepoul noir N, roussanne B, terret noir N, viognier B;

-Pour les vins rouges une proportion de l’ensemble du cépage principal et des cépages complémentaires supérieure ou égale à 50% de l’encépagement.

Vins rouges:
- La proportion du cépage grenache N est supérieure ou égale à 50 % de l’encépagement;
- La proportion de l’ensemble des cépages mourvèdre N et syrah N est supérieure ou égale à 20% de l’encépagement;
- La proportion de l’ensemble des cépages accessoires est inférieure ou égale à 30% de l’encépagement;
- La proportion des cépages blancs est inférieure ou égale à 5% de l’encépagement.

補助葡萄として赤ワイン用葡萄(末尾に N を伴うもの)の規定は30%以下というだけなので当該葡萄の割合については10%以下というわけではありません。

AOC コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから独立したアペラシヨンは必ずしも同じ葡萄規定ではないということをご理解頂きたいと思います。

| ワイン雑感 |
| 11:51 AM | comments (0) | trackback (x) |


PAGE TOP ↑
Copyright © 2006 ワインと葡萄::2017年04月05日
All Rights Reserved./Skin:oct