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Jurançon noir N




ジュランソン・ノワールはフランス南西地方、オクシタニー(Occitanie)地域圏のタルヌ県原産とされる黒葡萄である。

ジュランソン・ノワールはフォル・ブランシュを母、コットを父とする自然交配種であり、タルヌ県ではないが同じ地域圏のロット県ロット川流域のアペラシヨン・カオールに指定された地域周辺で広く栽培されていたはずである。実際にジュランソン・ノワールのシノニムを見ると「CAHORS」が含まれるのである。ちなみに AOC カオールの主要葡萄 COT のシノニムにも「CAHORS」がある。

さてジュランソン・ノワールをシノニムとする葡萄は正式名称ジュランソン・ノワールだけであるが、その代表的シノニムである Folle Noire をシノニムとする葡萄は6種類も存在する。拙ブログではこちらに書いた。

またジュランソン・ノワールは以前紹介した通り、前述のジュランソン・ブランとは全く別の葡萄である。

新しいデータベース VIVC2 はこちらだが以前のデータと変わらない。

ジュランソン・ノワールは旧来アペラシヨン・カオールに使えた葡萄であったが現時点で当該葡萄を使うことが可能な AOC ワインは皆無となってしまった。IGP 専用かというとそうではなくこんなワインがある。ジュランソン・ノワール 100% で造られたワインだ。

さてこちらの米国サイトを見ると事実誤認している部分が多々見受けられる。

まずジュランソン・ノワールを使うワインとして IGP ラヴィルデュー、AOC エスタン、AOC アントレーグ・ル・フェルとしているが、IGP ラヴィルデューの葡萄規定は次の通り

4.1 . Encepagement
Les vins beneficiant de l’indication geographique protegee ≪ Lavilledieu ≫ sont produits exclusivement a partir des cepages suivants :
- cepages principaux : cabernet franc N, gamay N, negrette N, syrah N et tannat N ;
- cepages accessoires : fer N et milgranet N.

IGP の葡萄規定としては極真っ当なものであり、主要葡萄はカベルネ・フラン、ガメイ・ノワール、ネグレット、シラーそしてタナー。補助葡萄としてフェールとミルグラネとなっている。
見ての通り、ジュランソン・ノワールの名前など何処にも載っていない

エスタン、アントレーグ・ル・フェルについては拙ブログのこちらで詳しく述べた通りジュランソン・ノワールは使用出来ない

次にプロヴァンスの小さなアペラシヨン・ベレに於いて当該葡萄はFuella Nera として知られているとあるが、Fuella Nera とジュランソン・ノワールとは全く異なる葡萄である。フュエッラ・ネラはイタリア原産の黒葡萄であり拙ブログではこちらで紹介している。

さらにジュランソン・ノワールのワインとしてファビアン・ジューヴ氏のワインを取り上げているが、このワインは毎年ジュランソン・ノワール 100% で造られている訳ではないはずだ。

日本語の説明はこちら、ジュランソン・ノワールの名前がアペラシヨンから消えた経緯については拙ブログのこちらで詳しく述べている。

このワインの生産者の説明はこちら 、明記されているがジュランソン・ノワールは 30% であり、あとの7割はコットである。

しかしこちらでは 2012年ヴィンテージに限ってはジュランソン・ノワール 100% であるとしているサイトもある。

他にもカオールの生産者の中にはジュランソン・ノワールを栽培している人達が居て、例えばこんなワインを造っている。

INAO がどういう理由でジュランソン・ノワールを AOC カオールから排除したのか甚だ疑問である。アペラシヨンというのはその名の通り原産地統制呼称法であり、元々この地で栽培されていた葡萄を尊重するのが建前のはずである。AOC カオールにジュランソン・ノワールの復権を願いたい。

| ワイン雑感 |
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