ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

AOC シャンパーニュに使用出来る葡萄
古い話だが AOC シャンパーニュの葡萄規定で具体的な葡萄の名前が登場したのは 1919年のことである。日本語のこちらのサイトにもあるがどの文言かというとリンク先から第17条の第 3項の最後の2行(太字)である。

La Champagne viticole comprend exclusivement :

1° Les territoires définis au décret du 17 décembre 1908 ;

2° Les communes de l'ancienne province de Champagne et de l'ancien comté de Bar-sur-Seine, non comprises audit décret, mais pour lesquelles l'appellation " champagne " a été revendiquée dans une ou plusieurs déclarations de récoltes faites de 1919 à 1924 inclusivement, selon les modalités prescrites à l'article 11 de la présente loi;

3° Les communes du Cunfin, Trannes et Précy-Saint-Martin (Aube).

Dans ces territoires et communes, seuls les terrains actuellement plantés en vignes ou qui y ont été consacrés avant l'invasion phylloxérique, peuvent conférer à leurs vins le droit à l'appellation " champagne ".

Les seuls raisins propres à la champagnisation sont ceux qui proviennent des cépages suivants :
les diverses variétés de pinot, l'arbanne, le petit meslier.


「シャンパーニュに使用できるブドウは次の品種とする:様々なピノの類とラルバンヌ、プティ・メリエ」。この文言で重要なのはシャルドネという文言がないことである。つまりピノの類であれば何でも使って良いとの法令であるから。当時ピノ・シャルドネと呼ばれていた白葡萄であるシャルドネは何の問題もなく使えたと云うことである。

この「様々なピノの類」の中にはガメイ・ノワールも含まれていたのだろうか?

ガメイ・ノワールが公にその存在を確認されたのは 1395年とのこと。しかし当時はガメイはピノの類とは分類されていなかった

あろうことか、ランスやエペルネから遠く離れたオーブ県がシャンパーニュを名乗ることが出来るようになったた1919年からシャンパーニュ・セパージュ・ガメイは存在した模様だ。オーブといえばすぐ近くはブルゴーニュなので、当時ブルゴーニュで広く栽培されていたガメイがオーブで栽培されていても全く不思議な話ではなかった。曖昧な法令の葡萄規定だったため、ガメイを混入させたのはオーブの農民たちである。

ところがガメイを混入することで風味が変わってしまうことに気付いた INAO は1927年の法令で18年間の猶予を持たせてガメイ・ノワールを栽培出来ないようにした。即ち1945年までにガメイ・ノワールは引き抜かねばならなかった訳だ。

しかしながら第2次世界大戦のためオーブではそのままガメイが栽培され続けたのである。そのため INAO は1949年5月20日の政令でオーブ県でのガメイ栽培期限の延長を1952年7月27日と定めた

ところが、それ以降もガメイ・ノワールを使ってシャンパーニュ造りをしていた輩が居た。

こちらがそのシャンパーニュである。ヴィンテージが 1959年にも拘わらずガメイ入りのシャンパーニュが売られていた訳である。デゴルジュマンは2013年5月と明記されているので明らかに違法シャンパーニュではないか。

ここでシャンパーニュに使うことの出来る葡萄について纏めてみよう。

1919年の法令では当時ピノの類と分類された葡萄は何でも使えた訳で当時の法令の文言に登場していた Pinot Noirien ピノ・ノワリアン、Pinot Beurotピノ・ブーロ、Pinot Liébault ピノ・リエボー、Pinot Meunier ピノ・ムニエ、Pinot Chardonnay ピノ・シャルドネ、Pinot Blanc ピノ・ブランなど、そして Arbanne アルバンヌ(当時はシノニムでの表記。正式名称 Arbane アルバン若しくはアルバーヌ)とプティ・メリエ。

1978年 1月 17日の政令では次のように変わった。

Encépagement :
chardonnay (blanc), pinot noir et pinot meunier (noirs).
Sur des superficies très confidentielles : pinot blanc vrai (forme blanche du pinot noir), arbane (blanc) et petit meslier (blanc).

旧法ではシャルドネ、ピノ・ノワールとピノムニエ、ピノ・ブラン・ヴレ(ピノ・ブランのシノニムの一つ)、アルバンそしてプティ・メリエとなっていた。

現行法は

2010年 11月 22日の政令

1° Encépagement :
Les vins sont issus exclusivement des cépages arbane B, chardonnay B, meunier N, petit meslier B, pinot blanc B, pinot gris G et pinot noir N.

2° Règles de proportion à l'exploitation :
Pas de disposition particulière.

即ち使用出来る品種名はアルバン、シャルドネ、ムニエ、プティ・メリエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリそしてピノ・ノワール。

今の状況から考えるとピノ・ブーロはピノ・グリのシノニムであった訳で、案外まともだったのかも知れない。

日本語のサイトに出てくるピノ・ロゼなど当時の法令文言には一切出てこない。PINOT PRECOCE NOIR はフランス原産の葡萄であるがPINOT PLANT DE JUILLET というシノニムは存在するが Pinot de juillet というシノニムは存在しない。この正式名称ピノ・プレコス・ノワールはシャンパーニュ地方で栽培された記録は見掛けないがドイツではそこそこの栽培事実が確認される。

古代品種と主張する「ブラン・ヴレ」なる葡萄は前述の違法シャンパーニュの生産者が勝手に呼んでいるだけでピノ・ブランのことに間違いない。

ガメイは西暦 1999年になって初めてピノとグエの交配種だったことが判明したのだからそれ以前はピノの類とは分類されていなかった訳である。私がオーブ県の泡をシャンパーニュと見ない理由の一つである。

| ワイン雑感 |
| 04:33 PM | comments (0) | trackback (x) |


PAGE TOP ↑
Copyright © 2006 ワインと葡萄::2016年11月27日
All Rights Reserved./Skin:oct