ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Courbu B その3
まずは当該葡萄 Courbu Blanc の VIVC のデータを見てみよう。現在のデータがこちらで3年前のデータはこちら。3年前には無かったシノニムに注目すべきである。

現在ではCourbu Blanc のシノニムに「H」を頭文字とする HONDARRABI ZURI が加わっている。

ならばこの HONDARRABI ZURI を VIVC の葡萄名検索で調べてみよう。結論から先に云うと検索結果は2例のみ。

1. HONDARRABI ZURI COURBU BLANC 3211 VITIS VINIFERA LINNÉ SUBSP. VINIFERA BLANC FRANCE

2. HONDARRABI ZURI ONDARRABI ZURI 8769 VITIS VINIFERA LINNÉ SUBSP. VINIFERA BLANC SPAIN

即ちオンダラビ・スリと呼ばれる葡萄はフランス原産の当該葡萄クルビュ・ブランと、もう一つはスペイン原産の ONDARRABI ZURI 8769 頭に「H」が付かないオンダラビ・スリと2つ存在すると云うこと。

VIVC のデータから ONDARRABI ZURI の現在のデータはこちら、シノニムは次の通り9つ

HONDARRABI ZURI
ONDARABIYA ZURIYA
ONDARRABI TXURI
ONDARRUBI ZURILLA
OUDANABI
TOCURI
TXURI
ZURI
ZURIA

一方当該葡萄の Courbu Blanc のシノニムは

BORDELEZA ZURIA
CHACOLI ZURIA
COUGNET
COURBEAU
COURBI
COURBI BLANC
COURBIES
COURBIS
COURBIS BLANC
COURBU
COURBU GROS
COURBUT
COURBUT BLANC
COURTOISIE GROS
COURBU
HONDARRABI ZURI
ONDARIA ZURIA
VIEUX PACHERENC

双方に共通するシノニムは HONDARRABI ZURI だけである。推測だがフランスとスペインの境界付近で栽培される葡萄の中に当該葡萄 クルビュ・ブランの存在は確かなようだ。しかしながら正式名称 ONDARRABI ZURI の栽培地域を見ると

SPAIN   378.00 1989
SPAIN   188.75 1999

紛れもなくスペインで栽培されており、「H」を頭に付けない正式名称 ONDARRABI ZURI は本来スペインワイン法のOndarrabi Zuri と同一のはず。

一方COURBU BLANC の栽培面積は

FRANCE  295.00 1958
FRANCE  142.00 1968
FRANCE  30.00 1979
FRANCE  86.00 1988
FRANCE  47.43 1999
FRANCE  48.00 2000
FRANCE  44.00 2006
FRANCE  43.00 2008

スペインでの栽培実績は報告されていない

スペインワイン法で Ondarrabi Zuri Zerratia ou Petit Courbu とあるが、プティ・クルビュ 正式名称 COURBU PETIT のシノニムは次の通り

PETIT COURBU
PETIT COURBU BLANC

従ってスペインで Ondarrabi Zuri Zerratia と呼ばれる葡萄はクルビュ・プティを意味しないはず。VIVC の葡萄名検索で「Ondarrabi Zuri Zerratia」を調べてもリザルトはゼロ。ところが「ZURI」で検索するとそれらしき葡萄が2つ見つかった。

一つはワイン・サーチャーのサイトで登場の CROUCHEN クルシェン、拙ブログではこちら で書いた典型的なバスク地方の白葡萄である。

もう一つは ARRUFIAC アリュフィアック、この葡萄も拙ブログのこちらで書いた通り同じくバスクの白葡萄である。

両方の葡萄に共通するシノニムとして ZURIZERRATIA がある。スペインのワイン法で3つある D.O. チャコリの葡萄規定の「Ondarrabi Zuri Zerratia o Petit Courbu」は恐らく間違いであり「Zurizerratia o Crouchen o Arrufiac」と変更すれば現状に適するはず。

次に Mune Mahatsa という葡萄だが、これはスペインのワイン法にあるようにフォル・ブランシュのシノニムと考えられる。拙ブログではこちら で取り上げたが現在は VIVC のパスポートデータが書き換えられ、親子関係にグエ・ブラン正式名称ホイニッシュ・ヴァイスの名は消えている

葡萄の遺伝子解明は最近始まったばかりであり今後も紆余曲折は免れない。従って旧来の説がある日突然否定されることもあり得る訳だ。

ちなみにフォル・ブランシュの現在のパスポートデータはこちら、3年前はこちら である。

次にIzkiriota/Gros Manseng とあるが、VIVC で「Izkiriota」を検索しても何も出ない。Gros Manseng を調べると正式名称 MANSENG GROS BLANC のシノニムは次の通り

GROS MANSENC BLANC
GROS MANSENG
GROS MANSENG BLANC
ICHIRIOTA ZURIA HANDIA
ICHIRIOTA ZURIAHANDLA
ISKIRIOTA ZURI HANDIA
IZKIRIOT HAUNDI
PETIT-MANSENC

いかにもバスク語にありそうなシノニムが存在する。スペインのワイン法に登場する文言は信頼性に欠けるとしたら「Izkiriota/Gros Manseng 」は正式名称 MANSENG GROS BLANC を意味するに違いない。

同じく「Izkiriota Ttippia / Petit Manseng」もスペインのワイン法だけに見られる文言であり「Izkiriota Ttippia」をシノニムに持つ葡萄など存在しないため正式名称 MANSENG PETIT BLANC のシノニムから

ESCRIBEROU
ICHIRIOTA ZURIA TIPIA
MANSEIN
MANSEIN BLANC
MANSEING
MANSENC BLANC
MANSENC GRISROUX
MANSENG BLANC
MANSENGOU
MANSIC
MANSIN
MAUSEC
MAUSENC BLANC
MIOT PETIT
MANSENC
PETIT MANSENG
PETIT MANSENG BLANC

から2番目の「ICHIRIOTA ZURIA TIPIA」が本来法令の葡萄規定にあって然るべきかも。

最後に赤のチャコリに使われるという Ondarrabi Beltza オンダラビ・ベルツァを見るとこちら 、スペイン原産の黒葡萄でシノニムは次の通り

BELTZA
CHACOLI
CRUCHEN NEGRE
HONDARRABI BELTZA
HONDARRIBI BELTZA
HONDARRIBI GORRI
KURIXKETU BELTZA
MATZA VERDE
NEGRA
ONDARRABIYA BELTZA
ONDARRI BELTZA
ONDARRIBI BELTZA
ONDARRUBI BELTZA
ONDARRUBIYA BELTZA
ONDARRUBIYA NEGRA
TXAKOLI
VERDE MATZA
XERRATU BELTZA

紛れもなくこの葡萄が使われていることは確かなようだが栽培面積はこちら 、直近のデータはないが1989年と比較すると2008年は 80% も減少している。従って赤のチャコリは減産しているはず。

さて根本的な問題はチャコリの原料葡萄オンダラビ・スリを DNA 鑑定したらノアだったということ。不可能かも知れないがもっと多くのサンプルを同じく DNA 鑑定したらノア以外の葡萄が発見される可能性が高いと私は考える。

スペインのワイン法、残念ながら信頼しない方が良いのではないか。
| ワイン雑感 |
| 01:58 PM | comments (0) | trackback (x) |


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