ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Béclan N

ベクラン、末尾の「N」は果皮の色を示す略号で何の略かと申しますとフランス語の「Noir」(もしくは「Noire」)即ち黒い果皮の略です。フランス政府の呼称は上記の通りですがインターナショナルに認められる名称は BECLAN PETIT 、ベクラン・プティです。画像はフランスで栽培される葡萄のサイトのこちらから拝借しました。

拙ブログでは約3年前にこちらで紹介させて頂きました。

ベクラン・プティはフランシュコンテもしくはジュラ原産と思われる黒葡萄で、現在は絶滅寸前ではありますが実際に栽培されワインも造られている模様であります。それは後でご紹介することにしてベクラン・プティのシノニムは現在のところ19報告されていて VIVC のサイトからコピーさせて頂くと

BACCALAN
BACLAN
BACLANS
BECCLAN
BEIKIAN
BEITRIAN
DURAU
DUREAU
DURET
MARGILLIN PETIT
PETIT BECLAN
PETIT DUREAU
PETIT MARGILLIN
ROUSETTE NOIRE
SAUNOIR
SAUT NOIR
SCEAU NOIR
SEAUT NOIR
SUESSSCHWARZ

拙ブログの3年前と比べるとシノニムは2つ増えています。シノニムからフランス以外のドイツ・オーストリアにも栽培されているのかも知れません。

さて先ほどの話、このベクラン・プティを使ったワインのお話しに戻ります。こちらをご覧下さい。生産者の紹介の次に、いろいろなワインが並んでいますがそのトップにあるのが "J'en Veux" というヴァン・ド・フランス、即ち AOC でもなければ IGP のしばりも何もないテーブルワイン。

"J'en Veux" というワインはこんなエチケットになっています。およよ、瓶口は蝋封されていますね、エロチックなエチケットはどこかで見た覚えが・・・ 何とこの珍品ワインは既に輸入されているみたいです。
自然派と呼ばれたい人には好まれるビオディナミを実践、さらには醸造時に亜硫酸を用いないというその筋のマニアなら喜んで飛びつくワインなのかも知れません。

ジャン・ヴューとはどんなワインなのでしょうか?

ウェブ魚拓取らせて頂いたサイトの説明をコピーさせて頂くと

"J'en Veux"
Vin de France. A blend of 18 ancient red and white non-AOC-approved indigenous varieties, such as Petit Beclan, Beclan, Gueuche, Enfariné, Corbeau, Portugais Bleu, Gouais, Argant, Seyve-Villard. All the vines are franc de pied. Delightful earth and fruit notes, all varieties co-fermented. Each grape is cut off the stem by hand with a small stem attached to keep the berries intact. Just 80 cases produced. First made in 2004.

生産者の説明ではないかも知れませんが、要約するとアペラシヨンでは認められていない土着の古代品種(赤・白)18 種類のブレンド。それらの葡萄は接ぎ木されない本来の根を持つ葡萄であり手摘みで葡萄を傷つけないように収穫される。2004年がファースト・ヴィンテージ(ヴァン・ド・ターブルにヴィンテージは表示できませんけど)。

で、18種類の葡萄は? すべての種類が示されている訳ではありません。順番に申し上げると当該葡萄であるプティ・ベクラン、ベクラン、ギューシュ、アンファリネ、コルボー、ポルチュゲ・ブルー、グエ、アルガン、セイヴ・ヴィラールと読みとれます。

サイトの著者はプティ・ベクランとベクランを別の葡萄と考えておられるようですが、これら2つは、同一葡萄のシノニムですから一つの葡萄 BECLAN PETITE 。

次の「Gueuche」ですが果皮の色が不明なため考えられる葡萄は次の3種、即ちGUEUCHE NOIR 、GUEUCHE ROSE 、GUEUCHE BLANC となるはず。これらの内ギューシュ・ブランは正式名称は白葡萄のホイニッシュ・ヴァイスであり、ギューシュ・ノワールは正式名称 GUEUCHE NOIR と正式名称ENFARINE NOIR の2つの葡萄という可能性があります。即ち次の「Enfariné」と重なる可能性が高いと云うこと。恐らく黒葡萄のはずですのでギューシュ・ノワールもしくはアンファリネ・ノワールのどちらか。

そしてEnfariné アンファリネですが何も伴わないEnfariné をシノニムとする葡萄は次の3つ、即ちENFARINE NOIR 、GRACIANO 、PINOT MEUNIER ですがフランス原産でアペラシヨンでは認められないという条件を満たす葡萄はアンファリネ・ノワールだけということに相成ります。

「Corbeau」は拙ブログのこちらで取り上げましたが、現在では VIVC のパスポートデータが書き換えられ正式名称を CORBEAU としています。この葡萄はフランスではほぼ絶滅危惧種に近い存在。

「Portugais Bleu」は拙ブログのこちらで取り上げましたがこれは絶滅に瀕する葡萄ではありません。

「Gouais」は拙ブログでは何度も取り上げている白葡萄で本来の名称は「HEUNISCH WEISS」、ホイニッシュ・ヴァイス。フランスでは「旨いワインには縁のない葡萄」と酷評された葡萄であります。

「Argant」はスペイン原産の黒葡萄でフランス政府はこの葡萄を登録していません。

最後に示されたのは「Seyve-Villard」ですがこれは正式名称 SEYVE VILLARD 12-286 であり、非常に複雑な種間交雑により生まれた葡萄であります。従って「フランスの根を持つ」とは考えられません。

まあ18種類と生産者は胸を張って吹聴しているかも知れませんが、実際葡萄を鑑定してみるとその数は遙かに下回るはず。

ありましたよね、シャンパーニュの古代品種を使ったという触れ込みでオブリーが登場したときのお話し。現在シャンパーニュに認められる葡萄は拙ブログのこちらで述べた通りであります。アンフュメやフロモントーは2つともピノ・グリのシノニムでありながら、これらを別種として数を水増しさせていた訳です。

| ワイン雑感 |
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