ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

「SANGIOVESE」をシノニムとする第3の葡萄
さて何も付かない「SANGIOVESE」をシノニムとする第3の葡萄について書きます。その葡萄は「SANGIOVESE」以外のシノニムの一つに「SANGIOVESE GROSSO」を持っています。

昨日の重要なポイントとして正式名称 SANGIOVESE はシノニムの一つとして SANGIOVESE GROSSO を持っていることが重要と申し上げましたが、正式名称 SANGIOVESE 以外の葡萄に SANGIOVESE GROSSO というシノニムを持っている葡萄が存在することが根本的な問題なのであります。

ちなみに SANGIOVESE GROSSO をシノニムとする葡萄は今から申し上げる葡萄と正式名称 SANGIOVESE 以外には存在しません。

言い換えるとサンジョヴェーゼ・グロッソという葡萄は正式名称 SANGIOVESE 以外にもうひとつ存在すると云うこと。即ちワインに置き換えると、ワイン法で定められる葡萄規定に「SANGIOVESE GROSSO」とあれば、使うことの出来る葡萄は2種類あっても不思議ではないということ。

前置きは長くなりましたが、結論を申し上げると SANGIOVESE をシノニムとする第3の葡萄は正式名称 BRUNELLO DI MONTALCINO 、あの DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインと同じ名前の葡萄が存在するのです。ところがこの葡萄、イタリア政府は公式に認めておりません。あくまでサンジョヴェーゼと呼ばれる葡萄は正式名称 SANGIOVESE ただ一つであるという認識なのです。

VIVC のサイトからこちらをご覧下さい。シノニムは SANGIOVESE 以外に

BRUNELLO MONTALCINO

SANGIOVESE GROSSO

が含まれます。シノニムとして恐らく省略形と思われる BRUNELLO もあるはずですが、昨日の正式名称 SANGIOVESE の 81 もあるシノニムと比べて非常に少ない。ですが、同じ名前のシノニムを共有していることにご注目下さい。

正式名称 BRUNELLO DI MONTALCINO のシノニムは、ブルネッロ・モンタルチーノ、サンジョヴェーゼそしてサンジョヴェーゼ・グロッソの3つに限定され、栽培面積はこちらの通り、少し古いデータですが 1990年にイタリアで 1,110 ヘクタールとなっています。

イタリア政府は認めていない正式名称ブルネッロ・ディ・モンタルチーノという葡萄が 1990年の時点でイタリア国内に 1,110 ヘクタールも植えられているのが事実でありました。

と云うことは、モンタルチーノ地区ではブルネッロと呼ばれる(粒の大きい)葡萄は正式名称サンジョヴェーゼと、同じく正式名称 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの2つが混植されている疑いが濃厚であると云うこと。

サンジョヴェーゼの粒の大きいクローンが DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使われるのではなく、正式名称 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノという葡萄が本来 DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使われるべきではないか。

そもそもモンタルチーノ地区で栽培される「大きな果実」をシノニムとするサンジョヴェーゼ・グロッソ SANGIOVESE GROSSO とキアンティ地区で栽培される「小さな果実」の SANGIOVESE PICCOLO、SANGIOVESE PICCOLO PRECOCE とは、単なるクローンの違いではなく葡萄品種そのものが異なると云うことです。品種改良により生まれたものではなく元々別品種であるということです。従って生産者により味が異なるのは当然のことかも知れません。実際に飲んで、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノというワインには美味しいものとそうでないものとの差が激しすぎると感じていました。

恐らく DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインは、葡萄が正式名称 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノだけで造られたワインと、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノとは本来異なるサンジョヴェーゼを混醸したワインが存在する。あるいは正式名称サンジョヴェーゼだけで造られているブルネッロ・ディ・モンタルチーノを称するワインが存在する可能性が非常に高いと思われます。

こちらをご覧下さい。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの正式サイトであります。下の方(8ページ目)をご覧頂くとその地図と葡萄栽培面積が示されてありますが、コピーさせて頂くと次の通りです。

Superficie dei terreni vitati - Surface covered with vineyards
Totale - Total Ha 3.500
Brunello di Montalcino DOCG Ha 2.100
Rosso di Montalcino DOC Ha 510
Moscadello di Montalcino DOC Ha 50
Sant’Antimo DOC Ha 480
Altri vini - other wines Ha 360

2012年のデータですので 1990年のVIVC のデータと比較するのは乱暴かも知れませんが、VIVC によると「BRUNELLO DI MONTALCINO」の栽培面積は1990年で 1,110 ha とされているにも拘わらず、2012年の DOCG Brunello di Montalcino での葡萄栽培面積は約二倍の 2,100 ha となっています。引き算すると 990 ha にはブルネッロと呼んでいるだけの正式名称「サンジョヴェーゼ」が植えられているに違いありません。

結論です。DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使われる葡萄は法律上1つとなっていますが、葡萄分類学上では2つ存在すると云うこと。当然の事ながら葡萄そのものが異なる訳ですから、生産者によってワインの味が大きく異なる場合が多いと云うこと。法律で明確に区別する必要があると考えます。

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CALABRESE DI MONTENUOVO カラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォって何だ
本日は、何も付かない SANGIOVESE をシノニムとするあと2つの葡萄のうちの一つ、最近発見されたと云っても過言ではない「CALABRESE DI MONTENUOVO」を正式名称とする葡萄について書きます。

VIVC のサイトからこちらをご覧下さい。カラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォはヴィティス・ヴィニフェラに属するワイン用の黒葡萄で目下のところ栽培面積などのデータはありません。シノニムは3つだけ

CALABRESE MONTENUOVO

NERO D'AVOLA

SANGIOVESE

シノニムから判断できる事を申し上げると、今まではサンジョヴェーゼ、もしくはネロ・ダーヴォラと現地では呼ばれていた葡萄の遺伝子解析してみたら、実はそれらとは異なる葡萄であることが分かり「カラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォ」という正式名称が付けられたということ。

拙ブログのこちらで書きましたが、現時点でこの葡萄がサンジョヴェーゼの親である確証はありません

ところがこちらのフランス葡萄に詳しいサイトでは「サンジョヴェーゼはカラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォを母、チリエジョーロを父として自然交配により誕生した葡萄」と断言しています。またそのチリエジョーロに関してはこちらであるとしています。

つまりチリエジョーロは元々スペインの葡萄(固有品種)であろうと云うことで VIVC の説とは真っ向から対立しています。

葡萄の起源については諸説様々あるのが現状ですが、なかにはとんでもない説を支持している評論家もおられるので注意が必要です。

昨日書きましたが念のためこちらをご覧下さい。チリエジョーロは元々スペイン原産のようにに思えるシノニム例えば ALEATICO DI SPAGNA 、CILIEGIOLO DI SPAGNA を有するものの原産地はイタリア、ペディグリーについては下記のようになっています。

Original pedigree SANGIOVESE × MOSCATO VIOLETTO

Prime name of pedigree parent 1 SANGIOVESE

Prime name of pedigree parent 2 MUSCAT ROUGE DE MADERE

チリエジョーロは正式名称サンジョヴェーゼを母、モスカート・ヴィオレットの呼称を持つ正式名称ミュスカ・ルージュ・ド・マデールを父として生まれた交配種。

さらにチリエジョーロの父であるフランス原産ミュスカ・ルージュ・ド・マデールは

Original pedigree MUSCAT A PETITS GRAINS BLANCS × MAMMOLO

Prime name of pedigree parent 1 MUSCAT A PETITS GRAINS

Prime name of pedigree parent 2 SCIACCARELLO

フランス原産の白葡萄ミュスカ・ア・プティ・グランを母、イタリア原産の黒葡萄マンモーロと呼ばれる正式名称シャカレッロを父として生まれた交配種であります。

本日のポイントは主に南イタリアで栽培されていたネロ・ダーヴォラ、サンジョヴェーゼと信じられていた葡萄が、実はカラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォであったことが判明したという最近のお話であります。

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