ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

現在のアペラシヨン・シャンパーニュの範囲について
私は以前からシャンパーニュ地方とはランス・エペルネ周辺の地域を指す訳で、そこから遠く 130km 以上南に離れたオーブなどはシャンパーニュ地方とはとても呼べない地域であると申し上げています。

フランスの現行法ではシャンパーニュを名乗れる地域は大変広くなっています。フランスのワイン法を日本に置き換えると次のようになります。

地理的条件ではなく距離だけで申し上げると例えば、山梨県甲府がワイン用葡萄栽培地で有名であると仮定すると、東京の世田谷辺りは甲府から 130km も離れていない訳ですから、この世田谷界隈を「甲府葡萄産地」と名乗っても良いことになってしまいます。

またランスからロゼ・デ・リセで有名なオーブのリセの距離は何と 170km にも及びます。

大阪駅から車を飛ばして名神高速を使い名古屋駅まで行くとするとその距離 174km 。そんな離れた距離の2地点を普通同一地域とは呼ばないはずであります。即ちフランスの現行法では距離的には「日本に例えると大阪も名古屋も同じ」シャンパーニュ地方と見なしている訳です。

さて 2008年にシャンパーニュ地域をさらに拡大するため、INAO 選出の AOC見直し委員会の活動が開始、第一段階は醸造地域と生産地域の見直しでありました。

で、2011年には INAO委員会が新しく 45村を生産地域に加え、2村を外す可能性を示唆したのです。以下その新たなるシャンパーニュに指定されるであろうコミューンと除外されるであろうコミューンを示します。

先ずは新シャンパーニュとしての候補コミューン:

Aisne 県 : Marchais-en-Brie, Condé-en-Brie, Saint-Eugène

Aube 県 : Arrelles, Balnot-la-Grange, Bossancourt, Bouilly, Etourvy, Fontvannes, Javernant, Laines-aux-bois, Macey, Messon, Prugny, Saint-Germain-L’Epine, Souligny, Torvilliers, Villery

Marne 県: Baslieux-les-Fismes, Blacy, Boissy-le-Repos, Bouvancourt, Breuil-sur-Vesle, Bussy-le-Repos, Champfleury, Contault, Courcy, Courdemanges, Courlandon, Fismes, Huiron, La Ville-sous-Orbais, Le Thoult-Trosnay,Loivre, Maisons-en-Champagne, Montmirail, Mont-sur-Courville, Péas, Romain, Saint-Loup, Soulanges, Ventelay

Haute-Marne 県 : Champcourt, Daillancourt, Harricourt

見直しで除外を提案された村 :

Marne 県 : Germaine , Orbais l’Abbaye

2013年12月22日現在のこれらのコミューンについて調べると不思議な結果が判明しました。

まず順番に申し上げるとエーヌ県の Marchais-en-Brie マルシェ・アン・ブリはシャトー・ティエリーから南南東 20km 、後述のモンミライユから北西 7km の場所ですがここはシャンパーニュとしては不認可。

Condé-en-Brie コンデ・アン・ブリは後述のクビを宣告された Orbais l'Abbaye から北西 12.4km のコミューンで既にシャンパーニュとして認可、コンデ・アン・ブリからさらに北西に 3.4km 行くと Saint-Eugène サン・トゥージェーンに到達しますがこのコミューンも既にシャンパーニュとして認可済みです。

オーブ県の Arrelles アレルは不認可、Balnot-la-Grange バルノ・ラ・グランジュも不認可、両コミューンはフロマージュのシャウルスは可能ですけど。

次のBossancourt ボサンクールは検索しても何も出てきません、即ち不認可。Bouilly ブイィはトロワの南西に位置するコミューンですがやはり不認可。

Etourvy エトゥルヴィ、Fontvannes フォンバンヌも不認可、Javernant ジャヴェルナンも不認可、Laines-aux-bois レーヌ・オー・ボワも不認可。Macey マセも不認可、Messon メソンも不認可、Prugny プリュニーも不認可。

次のSaint-Germain-l'Epine はどのサイトで調べても「そんなコミューンはおまへん」と示されてしまいます。コミューン・ドット・コムによるとトロワのすぐ南西にある Saint-Germain がこれに相当するコミューンと思われますがやはりシャンパーニュとしては不認可でフロマージュ・シャウルスのアペラシヨンの範囲となっています。

Souligny スリニーも同様、Torvilliers トルヴィリエはアペラシヨンとは無縁のコミューン、即ち不認可。Villery ヴィルリーはやはりシャンパーニュとして不認可、シャウルスの範囲内ではありますが。

従ってオーブ県ではこれらのコミューンは今のところすべて不認可となっています。

次にマルヌ県の Baslieux-lès-Fismes バリュー・レ・フィムはシャンパーニュとして認可が下りています。このコミューンはランスから北西に 20km 程の場所です。Blacy ブラシー(プロレスラーの名前ではありません)も認可、Boissy-le-Repos ボワシー・ル・ルポも認可、Bouvancourt ブヴァンクールも認可ですが次のBreuil-sur-Vesle ブルイユ・シュル・ヴェルというコミューンは存在しませんので恐らくランスから北西の Breuil ブルイユのはずで、ここも既に認可されています。

ところが次の Bussy-le-Repos ビュシー・ル・ルポはシャロン・アン・シャンパーニュから東南東 31.3km のコミューンですがシャンパーニュとして認められていません。

Champfleury シャンフルリはランスから南へ 7km のコミューンでこちらは既にシャンパーニュとして認められています。

そして Contault コントー(コンドーと混同しないように)はシャロン=アン=シャンパーニュの南東に存在しますがここは不認可。

Courcy 読むのに苦しい「クルシー」は意外と苦しくなくて既にシャンパーニュとして認可済み。Courdemanges クルドマンジュはシャロン=アン=シャンパーニュから南、ヴィトリー・ル・フランソワからすぐ南西のコミューンで既にシャンパーニュとして認められています。

次の Courlandon クルランドンはランスの北西にあるコミューンで次の Fismes フィムも同様両方とも既にシャンパーニュとして認可。次の Huiron ユイロン(アイロンとは違います)はヴィトリー・ル・フランソワに隣接するコミューンでこちらも認可済み。

次の La Ville-sous-Orbais は何故か冠詞が付いてますがこれが正式のコミューンの名称でラ・ヴィル・スー・オルベ、地図を見ると日本語でそう表示がありますが Forvo によるとこちらの通り「ラ・ヴィル・スー・ゾルベ」とリエゾンするようです。

しかしながら INAO で検索すると「その名のコミューンはおまへん」と出ます。ですが冠詞の「La」を外して検索するとシャンパーニュ、コトー・シャンプノワがアペラシヨンとして登場します。即ち認可済みと云うこと。

そして Le Thoult-Trosnay ル・トゥー・トロネは一連の場所から離れてエペルネから南西 25km 程のコミューン、こちらも既にシャンパーニュを名乗れます。

次の Maisons-en-Champagne メゾン・アン・シャンパーニュは名前にシャンパーニュがあるように当然ながらシャンパーニュの範囲であり、Montmirail モンミライユは前述ル・トゥー・トロネのすぐ近くのコミューンでこちらも認可済み。Mont-sur-Courville モン・シュル・クルヴィルはフィムの南のコミューンで既にシャンパーニュ認可済み。

Péas ペアはコート・デ・ブランのヴェルテュから南西というよりセザンヌからすぐ北東にあるコミューンで既にシャンパーニュ認可済み。Romain ロマンはフィムの北にあるコミューンで既にシャンパーニュ認可済み。Saint-Loup サン・ルーはペアのすぐ近くでシャンパーニュ認可済み。Soulanges スランジュはヴィトリー・ル・フランソワの北に位置するコミューンでやはりシャンパーニュ認可済み。Ventelay はヴォントレと読むとのことですがランスの北西のコミューンで既にシャンパーニュ認可済み。

そしてオート・マルヌ県の3つのコミューンですが Champcourt, Daillancourt, Harricourt シャンクール、ダイヤンクール、アリクールときたので「きっとクール」と思いましたが全くヒットせず今のところシャンパーニュとしては認可されていません。

まずアリクールはバール・シュル・オーブの東北東 22km に位置するコミューンでオート・マルヌ県ではありますが殆どオーブに近い場所で、そこからさらに東へ進むとシャンクール、そこから北へ向かうとダイヤンクールに到達します。道は1本で繋がってます。

さて除外と報道された2つのコミューンですがまず Germaine ジェルメンヌはランスからエペルネに向かうリベルテ道路の中間地点から少し東に入った場所でINAO のサイトではシャンパーニュ、コトー・シャンプノワのアペラシヨン範囲に入っています。

Orbais-l'Abbaye オルベ・ラベイはエペルネと前述のモンミライユの間にあるコミューンでこれまたクビは繋がったままでありシャンパーニュとして生産可能なコミューンであります。

つまり2013年12月末現在では候補に挙がったコミューンの内エーヌ県はマルシェ・アン・ブリだけが未決、オーブ県はすべて未決、マルヌ県はビュシー・ル・ルポとコントーを除きすべて認可済み、オート・マルヌ県の3つのコミューンは未決、クビを宣告されたマルヌ県のジェルメンヌとオルベ・ラベイは今のところシャンパーニュのアペラシヨンを名乗って良いことになっています。

シャンパーニュの公式HPを見ると法制局の裁定を経てシャンパーニュAOC見直し作業が終了するのは 2020年頃の予定とのこと。それまではどんな動きとなるかまだ分からないと云うのが現状であります。しかし見直し作業途上であるにも拘わらず既に認可されているコミューンが存在するのは如何なものでしょうか。


| ワイン雑感 |
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