ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Muscat à petits grains rouges
Muscat à petits grains Rg

フランス農水省公式葡萄品種目録には上記の通り記載されているのですが、名称を略号で示すとはちょっと省略しすぎであります。そもそも「Muscat à petits grains」で始まる葡萄品種は白品種 MUSCAT A PETITS GRAINS BLANCS (8193) の他に

MUSCAT A PETITS GRAINS NOIRS (8238)

MUSCAT A PETITS GRAINS ROSES (8186)

そしてこの MUSCAT A PETITS GRAINS ROUGES (8248) の都合4種存在しますがフランス農水省が認めているのはそれらの内3種だけで、MUSCAT A PETITS GRAINS NOIRS ミュスカ・ア・プティ・グラン・ノワールはどういう訳か登録されていません。(末尾の4桁数字は VIVC の整理番号)

また新フランス葡萄品種のサイトでは順序が入れ替わっており、ミュスカ・ア・プティ・グラン・ブランの次はミュスカ・ア・プティ・グラン・ロゼで、その後にミュスカ・ア・プティ・グラン・ルージュと続きますが、フランス農水省公式葡萄品種目録の末尾のローマ字序列的には「Rg」が「Rs」より先んじるという理由なのでしょうか、順序は逆になっています。

これは明らかに不自然であり、正式名称の通り葡萄果皮の色はちゃんと表記すべきものと考えます。

で、ミュスカ・ア・プティ・グラン + 何某の前の部分は省略させて頂き、何某に相当する果皮色=ブラン、ロゼ、ルージュ、ノワールの4種について比較すると、フランス国内に限って圧倒的に栽培面積の大きいのはブラン。

次に同じく栽培面積の比較ですが新のサイトでロゼは西暦2000年以降しかデータがありません。ルージュはこちらの通りです。ここで注目したいのは1988年の 436ha というルージュの栽培面積であります。

比較して頂きたいのは別品種ノワールのこちらのデータ、内容ですが 1988年に同じ数値 436ha が残っています。
VIVC のルージュのデータはこちらで、やはり 1988年に436ha となっているのは単なる偶然なのか、あるいはこの年代ではルージュもノワールも区別がなかったのでしょうか。

さてルージュとロゼはどう違うのか画像をご覧頂きたいと思います。

まずルージュはこちら、同じサイトで比較頂きたいのはロゼ、ですけどこのロゼは写真写りが悪うございます。

VIVC のサイトではルージュがこちらですがロゼの画像はありません。ちなみにノワールはこちら

VIVC の画像を比較する限りルージュとノワールの違いは殆ど無いように見えますが如何でしょうか。

ル・フィガロのサイトではルージュがこちら、ノワールは画像がなく、ロゼは名前がシノニムになっていますがこちら。こちらのサイトではその色の違いが明らかです。

例のお高い葡萄品種事典では画像は一切載せてありません。著作権の問題でしょうけどイラストによる葡萄の房や葉の形は実際のものと比べて遙かに現実味はありません。

さてこの品種を使うアペラシヨンは De vignes en vins... のサイトからこちらをご覧下さい。AOC Palette と AOC Muscat de Beaumes de Venise の2つとなっています。

先ずはAOC Palette

b) - Les vins rouges et rosés sont issus des cépages suivants :
- cépages principaux : cinsaut N, grenache N, mourvèdre N ;
- cépages accessoires : brun fourca N, cabernet-sauvignon N, carignan N, castet N, durif N, muscat à petits grains Rg, muscat de Hambourg N, petit brun N, syrah N, téoulier N, terret gris G, tibouren N.

現在のところ残念ながら AOC パレットでは赤とロゼの補助品種としての扱いです。補助品種とは使わなくても良い、きつい云い方をすると使う必要はない品種。品種名の表記はご覧の通り手抜き表記。

次にAOC ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズです。現在の法令はこちらを開いて左のメニュー上から9番目をクリックするとご覧頂けますが、葡萄品種規定(le décret n° 2011-1745 du 1er décembre 2011, JORF du 4 décembre 2011)は

V. - Encépagement
a) - Les vins sont issus des cépages suivants : muscat à petits grains B, muscat à petits grains Rg.
b) - La complantation de muscat à petits grains B et muscat à petits grains Rg est autorisée au sein d’une même parcelle.

こちらでは主要品種と云うより使える2品種ともミュスカ・ア・プティ・グランのブランとルージュでありますが葡萄品種表記はやはり手抜きのままです。

ところで改正前のAOC Muscat de Beaumes-de-Venise の法令がネット上に残っていたのでウェブ魚拓を取りました。こちらをご覧下さい。当時はミュスカ・ド・フロンティニャンという名前で出ていた訳です。おやおやミュスカ・ド・ハンブルグも 25% 以内だったら使えたみたいですね。

さてアペラシヨンではなく IGP COTES DE THAU (l’arrêté du 28 octobre 2011, JORF du 9 novembre 2011)はこちら、こちらの方が1ヶ月ほど前になるはずですが葡萄品種の表記は改められています。その一部だけコピーさせて頂くと

Muscat a petits grains blancs B, Muscat a petits grains rouges Rg, Muscat a petits grains Roses Rs, Muscat d'Alexandrie B, Muscat de Hambourg N,

省略せずに「ルージュ」が末尾に付いています。

法令文の作成はフランス農水省で行っているはずですが作成する人によって葡萄品種名が異なるのは如何なものかと申し上げたい。

| ワイン雑感 |
| 03:56 PM | comments (0) | trackback (x) |


PAGE TOP ↑
Copyright © 2006 ワインと葡萄::2013年03月11日
All Rights Reserved./Skin:oct