ワインと葡萄

ワイン用ブドウラボ、たまにピアノ

Touraine-Chenonceaux トゥーレーヌ・シュノンソー
先ず初めにトゥーレーヌ・シュノンソーという呼称はワイン名には使えますが、このワインのアペラシヨンはトゥーレーヌに過ぎません。アペラシヨンとデノミナシヨンとは同一ではないことをこちらでご確認下さい。

ロワールの古城巡りでひときわ綺麗な城と云えばこのワイン名と同じシュノンソーではないでしょうか。1976年に初めて訪れたフランス、当時は外貨の持ち出しも制限され1フランスフランは当時の邦貨で換算すると60円ほどだったと記憶していますが、そのとき日帰りバス・ツアーに参加して訪問した城の中では特に印象に残っております。
シャンボール城は規模が大きいだけで中はがらんどうだったはず。どこかのホテルの似たような名前のレストランもこの城同様内容が伴わないのは同じかも。

さてロワールの名城「シュノンソー」と名の付くトゥーレーヌ・シュノンソーですがその範囲はシュノンソー城直近だけではなく、次の各コミューンとなっています。シュノンソー城はシェール川を跨いで建立されていますが、そのシェール川の右岸と左岸がその範囲となっています。

シェール川左岸では Athée-sur-Cher アテ・シュル・シェール, Bléré ブレレ, Francueil フランキュイユ, Saint-Georges-sur-Cher サン・ジョルジュ・シュル・シェール, Faverolles-sur-Cher ファヴロール・シュル・シェール, Saint-Julien-de-Chédon サン・ジュリアン・ド・シェドン, Angé アンジェ, Pouillé プイエ, Mareuil-sur-Cher マルイユ・シュル・シェール, Saint-Aignan サンテニャン, Seigy セージ, Châteauvieux シャトーヴュー, Couffy クッフィ, Meusnes ムヌ.

シェール川右岸では Dierre ディエール, La Croix-en-Touraine ラ・クロワ・アン・トゥーレーヌ, Civray-de-Touraine シヴレ・ド・トゥーレーヌ, Chenonceaux シュノンソー, Chisseaux シソー, Chissay-en-Touraine シセ・アン・トゥーレーヌ, Montrichard モンリシャール, Bourré ブーレ, Monthou-sur-Cher モントゥ・シュル・シェール, Thésée テゼ, Saint-Romain サン・ロマン (コミューン全体ではなく一部分だけ), Noyers-sur-Cher ノワイエ・シュル・シェール 、Châtillon-sur-Cher シャティヨン・シュル・シェール.

かなり広範囲ですね。ちなみにアテ・シュル・シェールからシャティヨン・シュル・シェールまでは55km程の距離があります。大阪と京都の間より長い訳です。

ワインの色は白と赤だけでロゼや発泡酒は含まれません。

まず白ワインに使うことの出来る葡萄品種は Sauvignon Blanc ソーヴィニョン・ブランだけです。
赤ワインの葡萄品種構成は次の通りです。

- cépages principaux : cabernet franc N et cot N ;
- cépage accessoire : gamay N.

またその割合については

- La proportion du cépage cot N est comprise entre 50 % et 65 % de l’encépagement ;
- La proportion du cépage cabernet franc N est comprise entre 35 % et 50 % de l’encépagement.

即ち赤ワインの葡萄品種構成は主要品種としてカベルネ・フランとコット、補助品種として使用しても良いとされるのはガメイ・ノワール。またコットは最低50%最高65%でカベルネ・フランは最低35%最高50%との規定があるのでガメイ・ノワールは15%以下という規定のはず。カベルネ・フランとコットは必要欠くべからずという訳でコット65%~50%にカベルネ・フラン35%~50%、ガメイ・ノワールは無しでも良い訳です。

シュノンソー近辺だけなら理解できるかも知れませんが、あまりにも広すぎる範囲に疑問を持つのは私だけではないはず。

それでは何も付かないデノミナシヨン・トゥーレーヌとの違いを見ることにしましょう。

アペラシヨン・トゥーレーヌの範囲は大変広く、こちらの地図のクリーム色の部分すべてです。地図をご覧頂くと地理的呼称の付随するアンボワーズ、アゼ・ル・リドー、メランの領域はご理解頂けるはずですが、今現在新しいシュノンソーやオワリーは地図には示されていません。

地域名称の付かないトゥーレーヌの白ワインに使える品種はソーヴィニョン・ブランと補助品種としてソーヴィニョン・グリだけとなっています。補助品種のソーヴィニョン・グリは 20% 以下と規制されています。

ちょっと話は遡って INAO のサイトから生産物の検索で「Touraine」の語句を含むアペラシヨンを検索すると下記の3つが現れます。

AOC - AOP --Sainte-Maure de Touraine
AOC - AOP --Touraine
AOC - AOP --Touraine Noble Joué


即ちフロマージュのサント・モール・ド・トゥーレーヌ、ワインのトゥーレーヌ、そして同じくワインのトゥーレーヌ・ノーブル・ジュエの3つであります。

次に同じ「Touraine」を含むデノミナシヨンを検索すると

AOC - AOP --Sainte-Maure de Touraine
AOC - AOP --Touraine
AOC - AOP --Touraine Amboise
AOC - AOP --Touraine Azay-le-Rideau
AOC - AOP --Touraine Chenonceaux
AOC - AOP --Touraine Mesland
AOC - AOP --Touraine Noble Joué
AOC - AOP --Touraine Oisly

上記の8つが結果として出てきます。ですから原産地統制呼称法に於ける「トゥーレーヌ」の語句を含むアペラシヨンはワイン関係ではトゥーレーヌとトゥーレーヌ・ノーブル・ジュエの2つだけが存在し、アペラシヨン・トゥーレーヌは

AOC - AOP --Touraine
AOC - AOP --Touraine Amboise
AOC - AOP --Touraine Azay-le-Rideau
AOC - AOP --Touraine Chenonceaux
AOC - AOP --Touraine Mesland
AOC - AOP --Touraine Oisly

トゥーレーヌ、トゥーレーヌ・アンボワーズ、トゥーレーヌ・アゼ・ル・リド、トゥーレーヌ・シュノンソー、トゥーレーヌ・メラン、そしてトゥーレーヌ・オワリーという6つのデノミナシヨンに分かれるとご理解頂きたいと思います。

話を戻して何も付かないトゥーレーヌの赤ワインの葡萄品種規定は次の通りです。

a) – Disposition générale :
- cépages principaux : cabernet franc N et cot N ;
- cépages accessoires : cabernet-sauvignon N, gamay N, pinot noir N.

b) – Disposition particulière :
Pour les exploitations dont toutes les vignes sont situées à l'ouest du méridien de Tours, le cépage cabernet franc N peut être le seul cépage principal.

即ち通常規定では主要品種としてカベルネ・フランとコット、補助品種としてカベソーとガメイ・ノワールとピノ・ノワールとなっていますが特例として子午線上のトゥール以西の葡萄畑ではカベルネ・フランが唯一の主要品種とする規定になっているとのこと。

トゥール以西と云うことは、トゥーレーヌ・シュノンソーの範囲より遙か西と云うことになるのでこの特例の範囲外と云うことに相成ります。

と云うことは赤ワインの場合、普通のトゥーレーヌとトゥーレーヌ・シュノンソーとの違いは葡萄品種だけで比べると補助品種としてのカベソーとピノ・ノワールが除外されているだけに過ぎません。

あまり意味のない地域名称付きの原産地呼称ではないでしょうか?

これに比べ例えばトゥーレーヌ・アンボワーズの白ワインの場合、本来ソーヴィニョン・ブランのはずがシュナン・ブラン 100% でなければなりません。

地域を限定して葡萄品種が異なるならそれなりの意味はあるはずですけどね。

| ワイン雑感 |
| 01:55 PM | comments (0) | trackback (x) |


PAGE TOP ↑
Copyright © 2006 ワインと葡萄::2012年08月05日
All Rights Reserved./Skin:oct