ワインとピアノのある部屋

八戸ノ里南を西へ入った自転車店のつぶやき

AOC ベアルンの範囲は3つある

アペラシヨン・ベアルンの範囲については殆どの教科書は間違った位置情報を提供しています。昔の拙ブログではこちらで説明しましたが、法令が整備されまた一部改正されたのでその範囲について改めたいと思います。

先ずはアペラシヨン・ベアルンを名乗ることの出来るコミューンについては次の通りであります。

AOC BEARN
- Departement du Gers : Cannet, Maumusson-Laguian, Viella ;
- Departement des Hautes-Pyrenees : Castelnau-Riviere-Basse, Hagedet, Lascazeres, Madiran, Saint- Lanne et Soublecause ;
- Departement des Pyrenees-Atlantiques : Abos, Arbus, Arricau-Bordes, Arroses, Artiguelouve, Aubertin, Aubous, Aurions-Idernes, Aydie, Baigts-de-Bearn, Bellocq, Berenx, Betracq, Bosdarros, Burosse-Mendousse, Cadillon, Cardesse, Carresse, Castagnede, Castetpugon, Castillon (canton de Lembeye), Conchez-de-Bearn, Corberes-Aberes, Crouseilles, Cuqueron, Diusse, Escures, Estialescq, Gan, Gayon, Gelos, Haut-de-Bosdarros, L’Hopital-d’Orion, Jurancon, Lacommande, Lagor, Lahontan, Lahourcade, Laroin, Lasserre, Lasseube, Lasseubetat, Lembeye, Lespielle-Germenaud-Lannegrasse , Lucq-de-Bearn, Mascaraas-Haron, Mazeres-Lezons, Moncaup, Moncla, Monein, Monpezat, Mont-Disse, Mourenx, Narcastet, Ogenne-Camptort, Oraas, Orthez, Parbayse, Portet, Puyoo, Ramous, Rontignon, Saint-Faust, Saint-Jean-Poudge, Salies-de-Bearn, Salles-Mongiscard, Sauvelade, Semeacq-Blachon, Tadon-Sadirac-Viellenave, Tadousse-Ussau, Uzos, Vialer, Viellesegure.

各コミューンについては省略しますが県で申し上げるとジェール県の3コミューン、オート・ピレネー県の6コミューン、そしてピレネー・ザトランティック県の数多くのコミューンをその範囲としています。

次にアペラシヨン・ジュランソンの範囲を示します。

AOC JURANCON
departement des Pyrenees-Atlantiques : Abos, Arbus, Artiguelouve, Aubertin, Bosdarros, Cardesse, Cuqueron, Estialesq, Gan, Gelos, Haut-de-Bosdarros, Jurancon, Lacommande, Lahourcade, Laroin, Lasseube, Lasseubetat, Lucq-de-Bearn, Mazeres-Lezons, Monein, Narcastet, Parbayse, Rontignon, Saint-Faust et Uzos.

ジュランソンの範囲はピレネー・ザトランティック県だけの25コミューン。コミューンの名前を青にしますからベアルンのどのコミューンと重なるかお分かり頂けます。

次にアペラシヨン・パシュランク・デュ・ヴィック・ビルの範囲を示します。いうまでもなくこの範囲は赤ワインだけのアペラシヨン・マディランの範囲と全く同じです。

AOC Pacherenc du Vic-Bilh
- Departement du Gers : Cannet, Maumusson-Laguian, Viella ;
- Departement des Hautes-Pyrenees : Castelnau-Riviere-Basse, Hagedet, Lascazeres, Madiran, Saint-Lanne et Soublecause ;
- Departement des Pyrenees-Atlantiques : Arricau-Bordes, Arroses, Aubous, Aurions-Idernes, Aydie, Betracq, Burosse-Mendousse, Cadillon, Castetpugon, Castillon (canton de Lembeye), Conchez-de-Bearn, Corbere-Aberes, Crouseilles, Diusse, Escures, Gayon, Lasserre, Lembeye, Mascaraas-Haron, Moncaup, Moncla, Monpezat, Mont-Disse, Portet, Saint-Jean-Poudge, Semeacq-Blachon, Tadousse-Ussau et Vialer.

パシュラン・デュ・ヴィック・ビル、マディランの範囲にあるコミューンはグリーンで示します。

お分かりでしょうか、アペラシヨン・ベアルンの範囲は非常に広く、3つの地域に分かれます。即ち本来のベアルンそして現在では消滅したデノミナシヨン・ベアルン・ベロックの各コミューンを含む純ベアルン地区、そしてジュランソン全体をその範囲とするベアルン・ジュランソン地区、そしてアペラシヨン・マディラン・パシュラン・デュ・ヴィック・ビルの地区即ちベアルン・マディラン地区という3つの地域ということになります。

言い換えるとジュランソンの範囲で赤・ロゼを造るとアペラシヨンはベアルンを名乗れる訳であり、マディランの範囲で赤・ロゼ・白ワインを造る場合アペラシヨン・ベアルンを名乗れる場合があるということです。

しかし来年の収穫から事態は一変します。

b) - Assemblage des cépages
- Pour les vins blancs, le cépage raffiat de Moncade B représente au moins 50 % de l’assemblage

2°- Règles de proportion à l’exploitation
– Vins blancs :
A partir de la récolte 2019, le cépage raffiat de Moncade B est obligatoire dans l’encépagement.

4°- Assemblage des cépages
– Vins blancs :
La disposition relative à la proportion de 50% du cépage raffiat de Moncade B dans l’assemblage ne s’applique qu’à partir de la récolte 2019.

アペラシヨン・ベアルンの葡萄規定からアサンブラージュの条項では現在の葡萄規定ベアルンの白ワインの場合、少なくとも50%のラフィア・ド・モンカードが必要となっているのが改められ2019年の収穫からはラフィア・ド・モンカードだけしか使えないことに相成ります。

20世紀の後半でもフランス南西地方のワインは日本ではほとんど紹介されませんでしたが、マディランの雄 Alain Brumont アラン・ブリュモン氏の登場、ジュランソンを世界に知らしめた Henri Ramonteau アンリ・ラモントゥー氏の出現によりかなり有名になったこれらのアペラシヨン、まずは地理的条件をしっかり掴んで頂きたいと思います。
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Prunelard N




プリュヌラールと読む黒葡萄で拙ブログでは5年前こちらで取り上げました。

肝心なことはボルドーでの主要葡萄の一つ COT もしくはマルベックの父親となる葡萄であるということ。

COT が正式名称で読みは「コ」もしくはちょっと伸ばして「コー」、1980年代私がボルドーで耳にしたのは「コット」でしたが、末尾の「T」は発音しない傾向になったため現在は「コ」と発音するのが妥当とのことです。

COT の父親がプリュヌラールで母親は? 以前のブログで示したようにマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントという黒葡萄であります。

またマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントを母、カベルネ・フランを父として生まれたのがかのメルロー、正式名称メルロー・ノワールであります。

VIVC のデータベースから COT コの親子関係は
Pedigree confirmed by markers MAGDELEINE NOIRE DES CHARENTES × PRUNELARD
Prime name of parent 1  MAGDELEINE NOIRE DES CHARENTES
Prime name of parent 2  PRUNELARD

また同じくメルロー・ノワールの親子関係は
Pedigree confirmed by markers MAGDELEINE NOIRE DES CHARENTES × CABERNET FRANC
Prime name of parent 1  MAGDELEINE NOIRE DES CHARENTES
Prime name of parent 2  CABERNET FRANC

遺伝子の解明は既に済んでおり上記のデータは書き換えられることはないはず。従ってコもしくはマルベックは母親マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント、父親プリュヌラールとの交配により生まれた葡萄。

またメルロー、正式名称メルロー・ノワールは母親マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント、父親カベルネ・フランとの交配により生まれた葡萄であり、コとメルロー・ノワールは母親が同じマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントで父親が異なる異父兄弟であります。

プリュヌラールが使えるフランスのアペラシヨンについては以前のブログをご覧下さい。葡萄規定など法令は現在も同じです。
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Primitivo N




今まではフランス政府が公表する葡萄目録についてアルファベット順に書いてきましたが、比較的日頃目にすることの多い葡萄から取り上げてまいります。一応アルファベット順は続けてまいりますけどね。

プルサールの次にはプリミティーヴォを取り上げます。

プリミティーヴォと云えばイタリアワインに多く見られますが、もっと頻繁に目にするのはアメリカのジンファンデルでしょう。プリミティーヴォの代表的シノニムはこのジンファンデルであります。

つまりイタリアのプリミティーヴォとアメリカのジンファンデルは同一の葡萄であるということです。

さて、どうしてフランス政府がこの葡萄をリストに載せているのでしょうか?

こちらをご覧下さい。ページの中ほどにフランスでの栽培面積の記載があります。2008年に 1ha 、そして2011年に同じく 1ha 。INRA 国立農業研究所の研究用農園にて栽培されているのだろうと思いきや、なんと栽培地はラングドックのこちらドメーヌ・ラルジョルという生産者がフランスで恐らく唯一当該葡萄の栽培そしてワインを造っていると思われます。

実際に売られているのがこちらのワイン、Zinfandel de l'Arjolle 2016 ジンファンデル・ド・ラルジョル、お値段は1本 13,95 € 也。はっきり申し上げてお高い。詳しくはこちらをご覧下さい。

ソムリエ試験には絶対出ませんけど、フランスでジンファンデルから造られる赤ワインが存在する、〇か×か答えよという設問があるなら正解は〇ということになります。

さてこのプリミティーヴォ、代表的シノニムジンファンデルですが今現在登録されているシノニムは下記の通りです。但しVIVC のシノニムの表記は英語となっていて、現地の表記を英語に無理やり置き換えられた訳ですので注意が必要です。

シノニムは全部で32

AGLIANCO DEL VULTURE
CJUTIITZA
CRLJENAK CRNI
CRLJENAK KASTELANSKI
CRNII KRSTACHA
GIOIA DEL COLLE
GRAKOSIJA
GRATOSIJA
KASTELANAC
KRAKOSIJA
KRATKOCHIVA NOIR
KRATKOSICA
KRATKOSIJA
KRATKOSIJA CRNA
KRATOSIJA
KRATOSIJO
LJUTIITZA
LOCALE
MORELLONE
PLAVAC VELIKI
PRIBIDRAG
PRIMATICCIO
PRIMATIVO
PRIMITIVO DI GIOIA
PRIMITIVO NERO
STARINSKI PLAVAC
TREBIDRAG
TRIBIDRAG
UVA DELLA PERGOLA
UVA DI CORATO
ZIN
ZINFANDEL

以前当該葡萄を紹介したとき は原産国クロアチアで Crljenak Kaštelanski がクロアチアでの正式名称と述べたのですが、当時からすでに VIVC では正式名称 PRIMITIVO としていました。

結論ですがフランスでもプリミティーヴォは実際栽培されワインまで造られていたという事実が判明しました。
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Poulsard N




プルサール、拙ブログでは5年前にこちらで取り上げました。読み方はプールサールではなくプルサール、昔の法令文言に見られる本来はシノニムの Ploussard の読み方もプルサール、後者はフランス語の発音の基本に従い母音に挟まれる「S」は濁るため「SS」となる訳です。あくまで呼び方プルサールが先にあり、スペルは後にそれに合うよう綴られたと考えるべきであります。

例えば Bourgogne、ブルゴーニュと云いますが、ブールゴーニュという人は殆ど居ないはずです。

他のワイン用語で間違いが多いのはシャンパーニュの製造途中に行われる日本語で言う動瓶、フランス語で Remuage 、カタカナ表記するとルミュアージュとなりますがルミアージュとして憚らないサイトがあると思えば、日本最大のワイン販売元なのにリュミアージュと主張するところもあります。こちらをご覧下さい。ウェブ魚拓がお嫌いならこちらを開いてその「醸造」の説明に次の文言が並んでいます。

コピーさせて頂くと

瓶内二次発酵で、大半をピュピトルにて手作業でリュミアージュを行っています。

間違いなくリュミアージュとなっています。これは本来の用語をカタカナに置き換えて覚えたための間違いとしか思えません。REMUAGE がどうしてリュミアージュに変化するのか説明をお願いしたいと思います。

REMUAGE と本来の用語で覚えると間違った発音はしなくなるはずです。ちなみに Forvo によるとフミュアージュみたいに聞こえますがこれは「R」の発音がそう聞こえるからでしょうね。

さて話が逸れてしまいましたが葡萄の名前で間違いの多いものを挙げると

BOURBOULENC がその代表でしょうか。ネット検索するとこちらのように殆どの読み方は ブールブーラン となってます。しかし読み方の鉄則から「BOUR」はブル、「BOULENC」はブランクと読むのが一般的でありブルブランクもしくはブルブランとなるのが妥当でしょう。Forvo の発音はこちらです。
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Plant droit N




プラン・ドロワと読む黒葡萄、拙ブログでは昔こちらで取り上げましたがリンク切れ等しており全面的にリニューアルいたします。

VIVC2 で Plant droit を検索すると正式名称 PLANT DROITCHASSELAS BLANC の2つが現れます。ですがフランス政府の発表では果皮色「N」即ちノワールを意味するわけですから当該葡萄はシャスラ・ブランではありません。

フランス葡萄のサイトによるとプラン・ドロワはフランス南東部を流れるデュランス川上流原産とされていますが、デュランス川(Durance)とはイタリア国境に近いシュナイエ山(Chenaillet、標高2,634m)に源を発し、ヴォクリューズ県アヴィニョンの数キロメートル南でローヌ川に合流する川、即ちローヌ川の支流です。

人為的に交配でできた葡萄では無くヴィティス・ヴィニフェラに属するフランスの固有葡萄なのですが絶滅の危機に瀕しており保護されるべき存在であります。

プラン・ドロワはフランス原産の黒葡萄で現在までに分かっているシノニムは次の通り

CINSAULT DROIT
CINSAUT DROIT
ESPANENC
GARNACHA FRANCESA
PLANT DRESSE
POUSSE DE CHEVRE

1番目のサンソー・ドロワはキプロス政府が登録する正式名称とのこと。5番目のスペルは Plant dressé であることを前のブログで申し上げました。

フランスで栽培される葡萄のサイトではワイン用ブドウとありますが、同じく政府筋のサイトではワイン用・食用ブドウとなっております。

ワイン用としては以前述べたようにアペラシヨンを有するワインには使えず、IGP ではこちらの通りほぼオールマイティに使えることになってますが、そもそも IGP の葡萄規定などほとんど意味を成していないのが現状であります。
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