ワインとピアノのある部屋

ワインと食、音楽そして日々の事柄を書き綴ります。

Romorantin B の父親に相当する葡萄は・・・
ロワールの小さなアペラシヨン、AOC Cour-Cheverny に唯一使うことの出来る葡萄 Romorantin ロモランタンは以前拙ブログのこちらで書きました。2013年 5月 5日の事でしたが、この時点ではロモランタンの父母に相当する葡萄として

Prime name of pedigree parent 1   HEUNISCH WEISS
Prime name of pedigree parent 2   PINOT TEINTURIER

ということが VIVC のロモランタンのパスポートデータに明記されていました。即ちロモランタンの母となる葡萄は正式名称ホイニッシュ・ヴァイス、フランスでは美味しいワインにはならないと忌み嫌われたグエ、もしくはグエ・ブランという葡萄であります。父はピノ・テンチュリエ、ピノ・ノワールの突然変異種で皮剥いた果肉も赤いという中まで色付いた葡萄。

ですけど今このサイトを見ると 2014年 3月 10日に更新され父母が入れ替わっています。コピーさせて頂くと

Original pedigree PINOT TEINTURIER × HEUNISCH WEISS

Prime name of pedigree parent 1 PINOT TEINTURIER
Prime name of pedigree parent 2 HEUNISCH WEISS


葡萄の生い立ちについてはまだまだ未解明な部分が多いと云うことの一例であり、現時点で断定するのは時期尚早と云うこと。

例えば、グリュナー・フェルトリナー。オーストリア原産説を強く支持してそのペディグリーについても解明されたと断言されている方もおられますが、現時点でのデータベースはこちらの通りで原産国はイタリア、両親に相当する葡萄の名前の記載はありません。即ち固有品種もしくは両親については未解明ということ。

話を元に戻し現時点でのロモランタンの父とすべき葡萄ホイニッシュ・ヴァイスであると云うことをご理解頂きたいと思います。ホイニッシュ・ヴァイスのパスポートデータはこちらで現時点では原産国がブランクになっています。つまり原産国不明の果皮色緑(ブランとあるのは白ワイン用の意味)の葡萄でシノニムは 208 もあります。

昔のデータでは原産国オーストリアとなっていましたが歴史的に考慮すると恐らくフランスのはず。フランスの農水省はこの葡萄を登録してはおらず、ドイツとスイスが公式に認めています。コピーさせて頂くと

GERMANY - Weißer Heunisch Heunisch
SWITZERLAND CH54 Gouais     Gwäss

ドイツでの正式呼称はWeißer Heunisch ヴァイサー・ホイニッシュで国が認めるシノニムとしてHeunisch 、スイスの場合はGouais グエが正式呼称でありGwäss がスイスのシノニム。

フランスで忌み嫌われて絶滅したであろうと云われる葡萄が実は現在のロワールの稀少なアペラシヨンに唯一使うことの出来る葡萄の父であったという皮肉な結論であります。



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第80回直心の日本料理とワインの夕べ
ネットから初めてお越し頂いたメンバーさん、クードポールの会からお越し頂いた皆様などいろいろお集まり頂きにぎやかに開催できました。

フランス料理にはフランスワイン、イタリア料理にはイタリアワイン、日本料理には日本酒と料理が変わると飲むお酒も変えられるという器用な人も居られますが、私は思うにお酒は好きなものを飲めばよいと。つまり料理を問わずビールがお好きならビールを飲まれたら結構。日本酒がお好きならどんな料理にだって日本酒をお飲みになればよいと思うのです。お酒の好みは人それぞれですので。

で、私の場合家で飲むのも外に出てもワイン。ワインが好きな訳ですから日本料理にもワインを合わせるだけのこと。それにご賛同頂ける方にお集まり頂いている訳です。神楽町の旧店舗で始めて今回が第80回目のお集まりと相成りました。


まずは夏向きのガラスの器で頂く「冷やし焼き茄子と由良の赤海胆、旨出汁掛け、振り柚子」。しゃきっと冷やしたスモーキーな茄子とつぶつぶ感が残る新鮮な淡路の赤海胆の取り合わせにちょっと甘い目の出汁を掛けて柚子で留めるという前菜です。


次は前回試して好評だった「穴子の湯引き」です。穴子の骨を加えた昆布と鰹の出汁に、骨切りした穴子をさっとくぐらせます。温かいうちに山葵と共に梅肉醤油で味わいますが鱧より濃厚な旨さがあります。


3つ目の突き出しは剣先烏賊と秋田の蓴菜を土佐酢で頂きます。小さなつぼみのような蓴菜は周りのゼリーがこんもりしていてとても美味しい。烏賊には隠し包丁が入っていてとても食べやすいのです。


お椀は鱸に糸瓜、いわゆる素麺南瓜、青紅葉麩に吸い口はへぎ柚子。


造りの一品目は茂魚と書いてあこう。薄造りにしてポン酢で頂きます。添えられる皮の湯引きも実に美味しい。


2品目はやはり旬の蛸と平鰺。こちらは山葵醤油で頂きます。蛸の湯がき加減は絶妙。目の前で皮を引かれた鯵はとても脂がのっています。


凌ぎは生で食べられる菠薐草に床伏(常節)、チリ酢で頂きます。


海部川の天然鮎塩焼きは蓼酢で。しっかり焼かれていますので骨まで食べられます。しっかり焼くのと焦げたものとは全く味が異なります。


無花果の田楽。

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フランス政府公式葡萄目録ってご存じですか?
フランスの行政については詳しくありませんが、省庁で「アグリメール」とあるのは日本でいう農水省のはず。で、そのフランス農水省が定める葡萄カタログがこの5月にまた改訂されました。フランス・アグリメールのサイトからこちらを開いてみて下さい。

Variétés de raisins de cuve で示されるのがワイン用葡萄です。 Abondant B からアルファベット順に並べられていますが拙ブログではこちらから順に(と云っても無関係の記事も混じっていますが)書いております。読み返すと分かりづらい箇所がありますので、ボチボチ修正して参りたいと思います。

この葡萄目録を具体的に解説しているのがこちらのサイトです。ですからアルファベット順に追っていくと、画像とかその起源についてはこちらを見ると一目瞭然と申し上げたいところが残念ながらフランス語だけなのでいちいち翻訳ソフトを使って変換しなければなりません。現在のところフランス語から日本語に変換できるソフトでマシなものは見当たりません。専門用語など全く意味不明の語句に並び替え・・・ という始末であります。

さてザッと見ただけで新しく登場した葡萄はというと、すぐ目に付くのは Barbera NBeaugaray NCabestrel N、など。イタリアの主にピエモンテ州で多く見られる葡萄・バルベーラなどフランスで栽培されているのでしょうか? またフランス農水省がわざわざ必要と認める葡萄なのかかなり疑わしいと思うのですけどね。

つぎのボーガレイでしょうか、この名称は VIVC の検索を駆使したところで全くヒットしません。即ちそんな葡萄は存在しないとデータベースは物語っています。

ところが INRA のサイトにはちゃんと載っているのです。こちらをご覧下さい。別名 INRA Colmar IB 103 といい、2008年に Christophe Schneider という人物が関与しているとのこと。でも詳しいことは分かりませんね。ネットで検索すると出てきました、こちらをご覧下さい。フランス農学研究所コルマール支部というアルザスにある研究所で造り出された葡萄でこの「ボーガレイ」と命名された葡萄は

pinot × heroldrebe (un cépage allemand) pour le beaugaray,

即ちピノとドイツの葡萄ヘロルドレーベの交配により生まれたものとのこと。

前後しますがこちらのサイトでは2013年の登録のため4つの新しい葡萄が提案されたとあります。ボーガレイの他には Picarlat ピカルラ、Gaminot ガミノそして Granita グラニータ。ですけどこれらの4つは今現在 VIVC には未登録つまり未承認であります。

で、はじめにご紹介した 2014年 5月 23日更新の最新版 Catalogue officiel des variétés de vigne Liste A1 をもう一度振り返ってみるとこれらの4つの葡萄は既に登録済みであります。

世界中には認められていないものの身内で造り出した新品種は登録してしまえというフランス人の考えでしょうか。

ところが既に VIVC に登録されているものも新たに登録されています。

Cabestrel N 単純に想像すると カベソー+モナストレル。調べてみるとやはり思惑通りムールヴェドルとカベルネ・ソーヴィニョンの交配により生まれた葡萄であります。

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ワイン大学第352回大阪聘珍樓
ワインと食事を愉しむ「ワイン大学定例会」始まって以来初めての中国料理とワインの会です。
中国料理は円卓を囲み大皿に盛られた料理を取り分けて食べるイメージですが、ここ大阪聘珍樓は一人前ずつお皿に盛り付け供されるスマートなスタイルであります。しかも「ちょびっとだけ」しか量のないどこかのお店と違い、一皿のボリュームは結構あります。個室なので他のお客さんと接触することはありませんし、サービス体制万全なので快く食事に専念できます。


まずはシャンパーニュ・ブラン・ド・ブランで乾杯! 本日のメニューも綺麗に印刷されています。グラスもピッカピカ、お部屋の空調も完璧、照明も暗すぎず居心地は最高です。


まずは鮑の冷製、椒麻ソース。小さいながらも一人1個の鮑、贅沢な前菜でシャンパーニュと実によく合います。


かなり大きめのお皿で登場は「太刀魚の強火煎り煮込み」は生薑と葱の香りが効いた魚料理で生のコリアンダーがアクセント。合わせるワインは飲み頃を迎えたペルナン・ヴェルジュレス。


次は「海鮮の冬瓜巻き、極上とろみスープと共に」。このスープがとても美味しいのです。中身は新鮮な魚介類と野菜、ボリューム満点。

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「SANGIOVESE」をシノニムとする第3の葡萄
さて何も付かない「SANGIOVESE」をシノニムとする第3の葡萄について書きます。その葡萄は「SANGIOVESE」以外のシノニムの一つに「SANGIOVESE GROSSO」を持っています。

昨日の重要なポイントとして正式名称 SANGIOVESE はシノニムの一つとして SANGIOVESE GROSSO を持っていることが重要と申し上げましたが、正式名称 SANGIOVESE 以外の葡萄に SANGIOVESE GROSSO というシノニムを持っている葡萄が存在することが根本的な問題なのであります。

ちなみに SANGIOVESE GROSSO をシノニムとする葡萄は今から申し上げる葡萄と正式名称 SANGIOVESE 以外には存在しません。

言い換えるとサンジョヴェーゼ・グロッソという葡萄は正式名称 SANGIOVESE 以外にもうひとつ存在すると云うこと。即ちワインに置き換えると、ワイン法で定められる葡萄規定に「SANGIOVESE GROSSO」とあれば、使うことの出来る葡萄は2種類あっても不思議ではないということ。

前置きは長くなりましたが、結論を申し上げると SANGIOVESE をシノニムとする第3の葡萄は正式名称 BRUNELLO DI MONTALCINO 、あの DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインと同じ名前の葡萄が存在するのです。ところがこの葡萄、イタリア政府は公式に認めておりません。あくまでサンジョヴェーゼと呼ばれる葡萄は正式名称 SANGIOVESE ただ一つであるという認識なのです。

VIVC のサイトからこちらをご覧下さい。シノニムは SANGIOVESE 以外に

BRUNELLO MONTALCINO

SANGIOVESE GROSSO

が含まれます。シノニムとして恐らく省略形と思われる BRUNELLO もあるはずですが、昨日の正式名称 SANGIOVESE の 81 もあるシノニムと比べて非常に少ない。ですが、同じ名前のシノニムを共有していることにご注目下さい。

正式名称 BRUNELLO DI MONTALCINO のシノニムは、ブルネッロ・モンタルチーノ、サンジョヴェーゼそしてサンジョヴェーゼ・グロッソの3つに限定され、栽培面積はこちらの通り、少し古いデータですが 1990年にイタリアで 1,110 ヘクタールとなっています。

イタリア政府は認めていない正式名称ブルネッロ・ディ・モンタルチーノという葡萄が 1990年の時点でイタリア国内に 1,110 ヘクタールも植えられているのが事実でありました。

と云うことは、モンタルチーノ地区ではブルネッロと呼ばれる(粒の大きい)葡萄は正式名称サンジョヴェーゼと、同じく正式名称 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの2つが混植されている疑いが濃厚であると云うこと。

サンジョヴェーゼの粒の大きいクローンが DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使われるのではなく、正式名称 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノという葡萄が本来 DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使われるべきではないか。

そもそもモンタルチーノ地区で栽培される「大きな果実」をシノニムとするサンジョヴェーゼ・グロッソ SANGIOVESE GROSSO とキアンティ地区で栽培される「小さな果実」の SANGIOVESE PICCOLO、SANGIOVESE PICCOLO PRECOCE とは、単なるクローンの違いではなく葡萄品種そのものが異なると云うことです。品種改良により生まれたものではなく元々別品種であるということです。従って生産者により味が異なるのは当然のことかも知れません。実際に飲んで、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノというワインには美味しいものとそうでないものとの差が激しすぎると感じていました。

恐らく DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインは、葡萄が正式名称 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノだけで造られたワインと、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノとは本来異なるサンジョヴェーゼを混醸したワインが存在する。あるいは正式名称サンジョヴェーゼだけで造られているブルネッロ・ディ・モンタルチーノを称するワインが存在する可能性が非常に高いと思われます。

こちらをご覧下さい。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの正式サイトであります。下の方(8ページ目)をご覧頂くとその地図と葡萄栽培面積が示されてありますが、コピーさせて頂くと次の通りです。

Superficie dei terreni vitati - Surface covered with vineyards
Totale - Total Ha 3.500
Brunello di Montalcino DOCG Ha 2.100
Rosso di Montalcino DOC Ha 510
Moscadello di Montalcino DOC Ha 50
Sant’Antimo DOC Ha 480
Altri vini - other wines Ha 360

2012年のデータですので 1990年のVIVC のデータと比較するのは乱暴かも知れませんが、VIVC によると「BRUNELLO DI MONTALCINO」の栽培面積は1990年で 1,110 ha とされているにも拘わらず、2012年の DOCG Brunello di Montalcino での葡萄栽培面積は約二倍の 2,100 ha となっています。引き算すると 990 ha にはブルネッロと呼んでいるだけの正式名称「サンジョヴェーゼ」が植えられているに違いありません。

結論です。DOCG ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使われる葡萄は法律上1つとなっていますが、葡萄分類学上では2つ存在すると云うこと。当然の事ながら葡萄そのものが異なる訳ですから、生産者によってワインの味が大きく異なる場合が多いと云うこと。法律で明確に区別する必要があると考えます。

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