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2008年07月18日

Saumur Cuvée Vent du Nord 2007 Domaine des Guyons

8v0718.jpgラベルの左下をご覧下さい「EARL Franck et Ingrid Bimon-Vignerons-F 49260 Le Puy-Notre-Dame」となっておりドメーヌ名と生産者の名前が一致しません。ロワールでは一般的なことですがブルゴーニュ・ワインに親しんでいる人には違和感があるでしょうね。3年ほど前に拙ブログで取り上げたと思いますが改めて生産者について輸入元のコメントをご紹介しましょう。

「ドメーヌ・デ・ギュイヨンは、ソミュールの南東、ル・ピュイ・ノートル・ダムに位置します。人口1000人の小さな町に住むのは、ほとんどが生産者。オーナーのフランク・ビモン氏は1995年に父からドメーヌを受け継ぎ、ドメーヌ名を変更。現在は妻のイングリッドと2人で、ワイン造りをしています。(フランクはフルーツを食べるのが嫌いなので、ブドウの完熟度チェックはイングリッドの方が優れているそうです。) ワインは飲み頃と判断するまでリリースせず、地下のカーヴで熟成させたあとに瓶詰めし、友人達と共同所有している『ギャラリー』と呼ばれる場所で出荷を待ちます。このギャラリーは5キロにおよぶ地下道で、完全に光を遮断(電球もなく、懐中電灯しか使えない!)。温度12度、湿度は80%と、保管には最適の場所と言えます」とのこと。

また生産者のコメントとして「短い人生で自分の手で収穫・醸造を出来るのは、最高でも40回。だからチャンスロスも失敗もしたくない。恥ずかしいけど、収穫前は眠れない。毎時間、天気予報を聞いて、ここ、というときに収穫を始めても、収穫されたブドウを見る度に手が震える。失敗したら、取り返しがつかないから」と付け加え「自分たちのことを『自然派』とは絶対に言いませんが、出来る限り化学物質は使用しない、というポリシーでワインを造っています」で締めくくっています。

輸入元の説明が正しいかどうか? まずフランスのコミューン・ドット・コムから「49260」と入力するといくつかのコミューンが出て来ますがその中の「Le Puy-Notre-Dame」をクリックするとこちらが現れます。

画面右側フランス全土の地図上○印をクリックすると左上に周辺地図が示されますね。縮尺は自由に出来ますのでソミュールとの位置関係を調べてみましょう。
ソミュールから南南西20㎞ほどの「Montreil-Bellay」のさらに西に位置するのがこの生産者のある「Le Puy-Notre-Dame」であります

またコミューン・ドット・コムのそのページ左下に人口などについて記載がありますが「Code postal : 49260、Population : 1 236 habitants、Superficie : 16 km²
Densité : 77 hab/km²」人口(調査の時点でしょうけど)1236人、いちいち情報の裏付けを取らねばならないとしたら面倒であります。

ワインの生産者の語ることをそのまま垂れ流している雑誌などよりはマシかも知れませんがワインを収入源として仕事をしている人達は検証を忘れて貰ったら困ります。

次にINAOのHPのコミューン検索から「Le Puy-Notre-Dame」をアペラシオンで調べてみましょう。おやおや「そんな名前のコミューンはおまへん」と答えが出てきます。コミューン名の前の冠詞 Le を省いてもう一度入力すると出てきたのがこちら

LR - IGP
--Agneau du Poitou-Charentes
AOC - VQPRD
--ANJOU
AOC - VQPRD
--ANJOU MOUSSEUX

AOC - AOP
--Beurre Charentes-Poitou
AOC - AOP
--BEURRE DES CHARENTES
AOC - AOP
--BEURRE DES DEUX SEVRES
LR - IGP
--Boeuf du Maine
LR - IGP
--Brioche vendéenne
AOC - VQPRD
--CABERNET D'ANJOU
AOC - VQPRD
--COTEAUX DE SAUMUR
AOC - VQPRD
--Crémant de Loire

LR - IGP
--Melon du Haut Poitou
AOC - VQPRD
--ROSE D'ANJOU
AOC - VQPRD
--SAUMUR
AOC - VQPRD
--SAUMUR MOUSSEUX

LR - IGP
--Volailles d’Ancenis

太字が全てワイン関係のアペラシオンであります。即ちこのコミューンはアンジュー、アンジュー・ムスー、カベルネ・ダンジュー、コトー・ド・ソミュール、クレマン・ド・ロワール、ロゼ・ダンジュー、ソミュール、ソミュール・ムスーの8つのアペラシオンを名乗ることが出来るという可能性を示しています。ややこしいのはアンジューとソミュールが交錯していることでしょうか。で、このワインは白ですのでソミュールの白ワインをクリックするとこちらが出てきます。地図上で明確に分けられているように見えますがそれはソミュールとソミュール・シャンピニーの区別だけでありアンジュー関連のアペラシオンとの区別は不明瞭であります。コミューンの状況は「28 communes de Maine-et-Loire, 9 communes de la Vienne et 2 communes des Deux-Sèvres.」と書いてあるものの具体的なコミューン名は示されません。ならばソミュール・ルージュを開いてもう一度チャレンジすると出てきました「Maine-et-Loire (49) : Artannes-sur-Thouet, Brézé, Brossay, Cizay-la-Madeleine, (Le) Coudray-Macouard, Courchamps, Distré, Doué-la-Fontaine, Épieds, Fontevraud-l'Abbaye, Forges, Meigné, Montreuil-Bellay, (Le) Puy-Notre-Dame, Rou-Marson, Saint-Just-sur-Dive, Saumur, (Les) Ulmes, Vaudelnay, (Les) Verchers-sur-Layon

Deux-Sèvres (79) : Saint-Martin-de-Mâcon, Tourtenay

Vienne (86) : Berrie, Curçay-sur-Dive, Glénouze, Pouançay, Ranton, Saint-Léger-de-Montbrillais, Saix, Ternay, (Les) Trois-Moutiers 」 一つのワインを調べるにはその地名、その場所の把握、そして最後にそのアペラシオンをハッキリさせなければなりません。単純なのもあるでしょうけどこの地域は大変複雑に入り交じっております。

さてキャップシールはツーピース構造のアルミ製でトップに孔は二つ被せる前から開けられているタイプです。コルクは良質の天然物で長さは46ミリトップとボトムに 2007 サイドはラベルにある地模様とドメーヌ名だけです。コルクを抜いたとたん迸るのは柑橘系の香りです。小夏や金柑ににた香りと云ったらよいのでしょうか、ソーヴィニョンのようなグレープフルーツ系の香りではありません。グラスに注ぐと色は結構彩度高い目の黄緑色、これは期待が持てます。

口に含むと先ず感じるのは若いワインなのに余計なきつい酸がありません。ワイン自体の酸味はあるのですが所謂残留抗酸化物質は殆ど感じません。味密度は高く特にミネラルの係数が高い! 甘酸のバランスが取れており残糖分も殆どありません。温度はスタートが12℃、だんだん下げていったのですが6℃ではバランスが悪くなり苦みを感じます。8~10℃がベストでしょう。

大量に購入したモッツァレッラ・ブッファーラとこの季節でも楽しめるように品種改良されたフルーツトマトにバジルにEXヴァージンをたっぷり振りかけカプレーゼの完成です。家庭で作るならトマトの皮は剥かなくても良いでしょう。ワインとの相性は意外にも良好です。

結論を申し上げると驚くほどのコスト・パフォーマンスであります。一夏越せそうにないビオ・ワインを賞賛する趣味を持ち合わせておりませんので、ネットで流行っている一連のロワールには全く興味がございません。真っ当な食生活をしている人にはこのワインの良さをご理解頂けるはずであります。

posted by:Georges :

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